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朝ドラ「エール」第12週ネタバレ!アナザーストーリーそれぞれの愛のカタチ

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朝ドラ「エール」第12週ネタバレ!アナザーストーリーそれぞれの愛のカタチ

朝ドラ「エール」第12週のあらすじ・ネタバレを紹介していきたいと思います。

「エール」の第12週では、スピンオフ週として、三つの物語が放送されます。

安隆(光石研)の話と、保(野間口徹)と恵(仲里依紗)の話。

そして、双浦環(柴咲コウ)の話になります。

安隆の話は今の話ですが、保と恵の話と、双浦環の話は過去の話になります。

それでは、第12週について紹介していきたいと思います!

この第12週では、それぞれの愛のカタチというくらい、愛が描かれます。

安隆の家族への愛。

保の恵への愛。

そして双浦環は・・・お楽しみくださいませ!

先生

朝ドラ「エール」第12週のあらすじネタバレ「アナザーストーリー」

「それぞれの愛のカタチ」

オムニバス形式の5話。

音(二階堂ふみ)の亡き父・安隆(光石 研)があの世から10年ぶりに地上に戻ってくる。

安隆は与えられた2日間で東京の古山家と豊橋の関内家を訪れる(56回、57回)。

古山家の近所の喫茶「バンブー」の店主・梶取 保(野間口 徹)と妻・恵(仲 里依紗)のなれ初めは…(58回)。

音の憧れの存在・双浦 環(柴咲コウ)の若き日の夢と恋の物語。環はオペラ歌手になることを目指してパリに留学。

そこで運命的な出会いが・・・(59回、60回)。

朝ドラ「エール」第12週56話のネタバレ

ある日のこと、音(二階堂ふみ)は華を昼寝させようと、寝室で子守唄を歌っていた。

「ねんねんころりよ おころりよ~ 坊やはよい子だ~ ねんねしな~」

裕一(窪田正孝)は出かけており、家の中には音と華の二人きり・・・のはずが、背後から声がした。

「女の子かあ、かわいいな~」

振り返った音は仰天した。

亡き父・安隆(光石研)が寝室をのぞいているのだ。

白装束姿で、額には三角の布。

絵に描いたような“幽霊”といういでたちだ。

錯覚に違いないと思い、呼吸を整えてもう一度見直していたが、間違いなく安隆がおり、こちらに向かって手を振っている。

「きゃああああああああああああ」

ようやく恐怖を覚えて悲鳴を上げると、華が泣きだした。

慌ててあやしているうちに、安隆は部屋に入ってきて、音のそばに座った。

「久しぶり。おめでとう」

「は?」

「ん?だから、子ども、俺にとっちゃあ初孫だのん」

「えっと、あの、とりあえず居間に行っとって、寝かしつけるから」

音に言われるまま、安隆は寝室から出ていった。

華を寝かせてから音が居間をのぞくと、安隆が座っていた。

頬をつねってみると痛い。

どうやら夢ではなさそうだ。

試しに手を振ると、安隆が振り返してきた。

「現実だわ・・・」

そう考えるしかなく、音は安隆のそばに座った。

「驚いたらあ?俺の姿、親族にしか見えとらんだわ。一泊二日、この世に戻れることになったで、会いに来た。迷惑だったか?」

安隆は、音の反応に納得がいかないようだ。

「もっと感動的な再開っちゅうか、なんか、おとーさーんみたいなの期待もあったから」

「無理だよ。急にそんな恰好で現れても」

「立派な家だのん。家賃、結構するだろう?」

「思い切って買ったの」

「ええ!旦那さん、甲斐性あるな」

感心する安隆を、音は裕一の書斎に案内した。

卓上ピアノや蓄音機の並ぶ室内を見せ、裕一は作曲家なのだと話していると、安隆は、好物だった団子を買ってきてほしいと言いだした。

安隆には、おやつ代の二十銭も与えられていた。

金を受け取ろうと音は手を伸ばし、安隆の手に触れた。

その瞬間、幼い日の父との思い出が脳裏を駆け巡った。

「お父さん!」

懐かしさと、父を失った悲しみとが一気にこみ上げてきて、音は安隆に抱き着いた。

泣きじゃくる音を、安隆は優しく抱き締めた。

音は団子を買って帰ると、安隆が昔よくやっていたように、あんことみたらしを一本の串に交互に刺しなおして出した。

「うお、これこれ。この世の食い物はうまいなぁ」

「あっちでは何食べとるの?」

「あの世のことは、閻魔様に言っちゃいかんって言われとるんだわ」

「あの世って怖いの?閻魔様って怖いの?」

「怖くないよ。閻魔様って言ったって、ただのじじいだし」

「アハ、そうなんだ・・・よかった。釜ゆで地獄~とか舌抜き取られる~とか心配したの」

「俺、そんな悪いことしとらんよ」

「お父さん、優しかったもんね、でも、その優しさで・・・」

線路に落ちた子供を助けて、安隆は電車にひかれ亡くなった。

「・・・実は・・・助けた子を見てきた。駅員さんになっとった」

「そっか・・・よかったね」

「・・・すまん。体が勝手に動いた」

「あんときは恨みもしたけど、今は誇らしいよ」

そんな話をしているところに、裕一が帰ってきた。

音は慌てるが、安隆は、裕一には自分が見えないからと平然としている。

確かに裕一には、安隆が見えていなかった。

「お、お団子、珍しい~。誰か来てだの?」

団子が二皿あるのを見て、裕一は尋ねた。

「お団子買ってきたら、お父さん思い出しちゃって。命日も近いし、なんかお父さんにもって」

「あ~だから、これが。食べていい?」

音は目くばせで安隆に確認を取ってから、裕一に向かってうなずいた。

「うまい!豊橋って、どっちの方向だっけ?」

「あっちかな」

音が指した方向には、ちょうど安隆が座っており、裕一は、そちらに向かって手を合わせた。

「お義父さん、いっつも見守ってくれでありがとうございます。おかげさまで子宝に恵まれ、音さんと幸せな日々を暮らしております。お義父さん、音さんを産んでくれでありがとうございます」

目の前に相手がいるとも知らない裕一の姿を見て、音は思わず笑いだした。

「アハハハ、アハハハハ」

安隆も笑いをこらえており、裕一だけが訳が分からずきょとんとしていた。

夜、裕一と華が寝室で眠ると、音と安隆は居間で二人きりになった。

「俺、そろそろ行くわ。光子や梅にも会いたいしな」

「お姉ちゃんは?」

安隆によると、古山家に来る前に吟のところにも行ったのだが、吟は白装束姿の父を怖がって逃げ回り、受け入れてくれなかったのだという。

「少し旦那さんに合わせて無理しとるように感じた。お前も子育てで大変だろうが、気にかけてやってくれ」

玄関まで音が見送りに出ると、安隆は音を抱き寄せた。

「俺、音の歌が大好きだ。また絶対歌いんよ。約束だ」

音と安隆は指切りをした。

二人の手が離れると、安隆の姿がさっと消えた。

「また、くじが当たりますように・・・」

音は手を合わせてそう願った。

朝ドラ「エール」第12週57話のネタバレ

翌朝、安隆(光石研)は豊橋の関内家にいた。

懐かしい作業場に入ってみると、岩城(吉原光夫)が一人で仕事の準備をしていた。

親族ではない岩城に安隆の姿が見えるはずはないのだが、気配を感じるのか、岩城は作業道具を手に安隆の後を追ってきた。

何とかそれを振り切って表に出たところで、安隆は光子(薬師丸ひろ子)に出くわす。

「ええええええええええええ」

光子の叫び声を聞いて、岩城が飛び出してきた。

「おかみさん、ご無事ですかね?」

「そこ、そこ」

光子は安隆を指す。

岩城は姿の見えない何者かに向かって道具を振り下ろし、安隆はそれを間一髪でかわした。

「中で話そまい。光」

「・・・は、はい。そうしましょう」

混乱しながらも光子が安隆に答えると、岩城が不思議そうに尋ねてきた。

「おかみさん、誰としゃべっとるんですか?」

「安隆さん。いや、どうしよう。あ、そうだ、掃除だ。掃除」

ごまかして光子は家のほうへ向かい、安隆も後を追った。

安隆のそばに座ってじっと顔を見ると、ようやく光子は自分の亡き夫だと認めることができた。

「いざとなったら、何話していいか分からんくなる」

「じゃあ踊る?」

二人は手を取り、音楽に合わせて踊り始めた。

昔のように息を合わせてステップを踏み、一曲踊り終えたときには、共に笑顔になっていた。

その後、安隆は、光子から梅(森七菜)の様子を聞いた。

幼い頃、梅には一人しか友達がいなかった。

「結ちゃん」といって、利発な梅に比べると不器用なタイプの子で、梅はその子に文学の楽しさを教えてあげた。

その結ちゃんが十六歳にして、文芸雑誌の小説コンクールで新人賞を取り、話題となった。

ペンネームを使っていたので最初は分からなかったが、彼女から手紙が来たのだ。

「梅もそのとき応募したけど、二次選考で落ちてるの」

「大人も応募しとる賞なんだろう?一次通っただけでもすごいじゃんか」

「私もそう言ったんだけど、最近は小説も書いとらんし、話もろくにせんし・・・正直お手上げ・・・」

「・・・俺、話してみるわ」

その後、帰宅した梅が子ども部屋に入ると、安隆が待っていた。

「うらめしや~」

「お父さん?お父さんでしょう」

「怖くないか?」

「全く。幽霊なんて文学じゃありふれとるよ。お帰り」

梅は淡々と安隆を受け入れ、二人は話し始めた。

「結ちゃんの受賞作、読んだか?」

「すごかった。すばらしかった。・・・ただ・・・ううん、何でもない」

「梅、自分の弱さを見せたくないんか?幸いお父さんはあの世の人だ。明日にはこの世にはいない。お父さんに、お前の正直な気持ちを教えてくれないか?」

「・・・悔しい・・・」

「負けを認めるってことは大切なことだで。負けを受け入れるから、人は成長したり違うことに挑戦できるんだ」

「・・・お父さんは、そんな経験ある?」

「岩城だ。あいつに勝てんから、お父さんは職人をやめて経営に専念したんだ。ずっとうちに仕事があるのは、あいつのおかげだ」

「岩城さん、お母さんのこと好きだよ。再婚するって言ったら、つらい?」

「う~ん、俺はうれしい。二人とも好きだから」

「お父さんって、何だろう、いいな~」

梅は屈託なく笑っていた。

「私、すべてのことを斜めから見過ぎとったかも。これからはまっすぐ見てみるよ。自分も小説もまっすぐ表現してみる。お父さんを見習って」

梅は安隆に抱きついた。

幽霊だというのに、ちゃんとぬくもりが伝わってきた。

「お父さん、温かい」

「ごはん、一緒に食べてけばいいのに」

光子はそう言ったが、安隆は帰らなくてはならなかった。

一泊二日という決まりを破ると、あの世に戻れなくなるのだ。

別れ際、安隆は光子を抱き締めてこう伝えた。

「もっとお前たちといたいけど・・・みんなそれぞれ幸せを見つけとって安心した・・・じゃあな」

光子は、涙ながらに答えた。

「あの世で、また」

この世から立ち去る前に、安隆はもう一度作業場に行った。

岩城に伝えたいことがあったのだ。

「再婚を許す」

と紙に書き、机の上に置いておいたところ、岩城がそれに気づいた。

そして、姿の見えない安隆に向かって、紙の余白に返事を書いてきた。

『俺は、安隆さんといるおかみさんが好きなんです』

書き終えると、扉の隙間からふわっと風が吹き込んだ。

伝わったのだと岩城は感じた。

安隆は笑顔であの世へと帰っていった。

朝ドラ「エール」第12週58話のネタバレ

ある日、音(二階堂ふみ)と共にバンブーに行った裕一(窪田正孝)は、不意に保(野間口徹)に聞いてみたくなった。

「あの、いまさらなんですけど~、“バンブー”って店名、どっから付けたんですか?」

「ああ、それはねえ・・・」

言いかけた保の言葉を、恵(仲里依紗)が引き継いだ。

「あの人、昔、古本屋の店主だったの」

恵が言うとおり、保は十年ほど前、神田で小さな古本屋を営んでいた。

ほとんど人づきあいをせず、店に籠ってばかりの保を、常連客で、喫茶店のマスターの木下一はとても心配していた。

「よけいなことかもしれないが、もうちっと外に出たらどうだい?前みたいに、うちの店にコーヒーでも飲みに来いよ」

「木下さんにコーヒーの淹れ方を教わったんです。同じものが飲めるのに、なんでお店に行かなきゃいけないんですか?」

この日、保の店に珍しく若い女性が来た。

積み上げた本の山にうっかりぶつかったらしく、ドサドサと大きな音がしたので、保はカウンターを出て様子を見に行った。

すると女性客が崩れ落ちた本の一冊を手に取り、つぶやいた。

「あれ、これ・・・『吾輩は猫である』の初版だ」

「え?奥付を見なくて、どうして分かったの」

「夏目漱石の『吾輩は猫である』は、上・中・下巻に分かれてます。なのに、初版だけは上巻に『上』の表記がない」

「だから、表紙だけですぐに初版と・・・」

感心する保に、女性客はさらに博識ぶりを披露した。

「『こころ』の最初の見返し裏に、あるラテン語が書いてあるの知ってます?『学は長く、人生は短い』・・・ヒポクラテスの格言」

その後、二人は話が弾み、女性客はずいぶん長話をしてから帰っていった。

去り際に、彼女は初めて名乗った。

「私、二宮恵です。また、来ます」

以来、恵は毎週木曜日に店を訪ねてくるようになり、保はそれを心待ちにするようになった。

そうして三ヶ月が過ぎたある日、恵は古本を買い、保からお釣りを受け取ってもカウンターから離れようとしなかった。

「保さん、あの・・・」

「はい?」

「いえ、え~と、ここは心が落ち着きます。また」

恵が帰っていくと、木下が保に話しかけてきた。

「いい子だな。どうなの?」

「どうって、何が?」

「またまた~、分かってるくせに。ずっと一人でいいの?」

この日、木下には連れがいた。

蝶ネクタイをした、いかにもお坊ちゃんという風貌の少年で、木下の親戚だという。

「こんにちは。佐藤久志です。保さんの状況は、おじさんから聞きました」

久志(山口太幹)は、裕一と音よりずっと早く保と出会っていたのだ。

「楽しいのに進展しない時間が続くと、女性は男性を恋愛対象から友達へと認識を変えてしまいます。早く勝負をかけたほうがいいと思います」

子どもらしからぬ久志のアドバイスに、保は耳を傾けた。

「なぜ行動に出ないのですか?彼女のこと好きでしょう」

「・・・はい」

保は初めて恵に好意を持っていることを認めた。

子ども相手に、嘘はつけなかった。

「あなたはずっと自分をごまかして生きてきた。一人でいるのは好きだが、彼女のことも好きだ。」

「これまでの関係が気まずくなるのも嫌。自分が傷つくのも嫌」

久志の指摘はすべてが図星で、保は頭を抱えてしまう。

「ある本に書いてありました。人は行動することで、自分を変えられると。まずは食事に誘ってみましょう」

次の木曜日、保は店にやって来た恵のためにコーヒーをいれた。

「保さんのコーヒー、おいしい」

「あ、ありがとう。あ、あの・・・今度よかったら・・・ご、ご、碁でもやりませんか?」

「碁って、囲碁ですか?教えてください」

ごはんでも・・・というつもりが、緊張し過ぎて碁に誘ってしまった。

保は碁ができるわけではなく、その晩、慌てて本を読みルールを覚えていた。

そんな保に、木下はあきれて言った。

「いいの?このままで。一生ここで一人で本だけが友達でいいの?」

木下と久志は、今日の保と恵のやり取りをひそかにのぞいていた。

「お二人は鈍いなあ。気づきませんでしたか?左の薬指」

久志によると、恵の左手の薬指に指輪が光っていたという。

このころ、日本ではまだ婚約指輪の習慣は一般的ではなく、久志は保たちに指輪の意味を教えた。

「外国では、婚約のときに男性から女性に指輪を贈る慣習があります。恐らく恵さんは、外国人の男性から求婚されてるかと・・・」

そう言われれば、保には思い当たる節があった。

恵は、『竹取物語』を外国人に読ませたところアメージングだと驚いていた、と話していたのだ。

「彼女、このまま月に行ってしまいますよ。行動するなら今しかない」

「でも、もう、婚約者がいるわけだし」

「言ったでしょう。すべては行動です。結果は変わらないかもしれない。しかし、あなたは変わります。人生の分かれ道は、突然やって来ます。そこで行動すれば、すべてが変わります」

「・・・ありがとう。月からかぐや姫を奪ってきます」

駆け出していった保は、恵に思いの丈を伝えた。

「あなたのことが、僕は、全身全霊で好きです!僕はずっと過去に生きてきました。あなたと出会って初めて未来を見ることができました。僕と結婚してください!」

恵はプロポーズを受け入れ、二人は結婚を決めた。

左の薬指の指輪はファッションリングで、『竹取物語』を読んだ外国人は、恵の単なる友人だった。

「“バンブー”って名前も、そこから?」

なれ初めを聞き終えた音が尋ねると、恵が答える。

「竹って根がすごいでしょう。私、ずっとふわふわして生きてたから、保さんと出会って、地に足着けるぞ!って意味も含めてね」

「へえ~、しかし久志さん、すごいわ~」

すると店の扉が開き、久志(山崎育三郎)が現れた。

一同は、まぶしそうに久志を見つめた。

「へ?何、その目。俺、何かやった?」

恋のキューピッド本人だけが、事態を飲み込めずにいた。

朝ドラ「エール」第12週59話のネタバレ

大正二(1913)年の春、双浦環(柴咲コウ)は、パリで声楽を学ぶ留学生にすぎなかった。

ある日、友人の里子に誘われ、環は日本人画家のアパートメントで開かれるホームパーティーに行った。

日本からの留学生と白人の男女とが入り交じったパーティーで、フランス語が満足に話せない環は気後れし、一人アトリエに入って絵を眺めていた。

すると、いつの間にか、日本人の美青年がそばに立っていた。

「どう、思う?」

「はい、あの、すばらしいと思います」

「そう?この絵を描いた人はどんな人だと思う?」

「・・・分かりません」

「嘘。今、心に浮かんだこと言って」

風景画に人物画、静物画にシュールレアリズム風と、作品は多岐にわたっている。

そこから感じたことを、環は口にした。

「・・・中途半端、とも」

「アハハ、同感だ。僕はこのアパートの住人。今村嗣人(金子ノブアキ)、中途半端な画家を目指す男です」

「・・・ご、ごめんなさい」

そこに里子が現れ、パーティーのホストである嗣人は皆のところに戻っていった。

里子によると、嗣人は十五歳のときに「サロン・ドートンヌ展」で賞を取った天才画家で、今、美術界で最も期待を寄せられている人物であり、家は大金持ちなのだという。

その後、環は偶然、嗣人と再会した。

カフェでフランス語の勉強をしていたところ、嗣人がやって来たのだ。

嗣人は環の失言を全く気にしていない様子で、話が弾んだ。

「世界で認められるために、僕は来たんだ。君もそうだろう?目を見れば分かる!留学って形に憧れてきたやつらと違う」

そう言い切る嗣人に、環は本心を口にした。

「・・・私は・・・スカラ座やオペラ座の舞台に立ちたい」

「一緒に行こう」

嗣人に手を握られ、まっすぐに見つめられて、環はしっかりとうなずいた。

恋に落ちた環は、夏を迎える頃には、嗣人のアパートメントで共に暮らすようになっていた。

ある日、朝食を食べながら嗣人が言った。

「僕の絵に興味を持ってくれた画商が現れたんだ。話を聞いてくる。個展を開けるかもしれない」

「すごい!すごいよ!」

「君の予定は?」

「いつもどおり。学校行って、発声練習。来て半年、ずーっとだよ。飽きてきた」

「基本は大事だから。頑張って!」

その日、環は里子から、重要な話を聞かされた。

プッチーニが、日本を舞台にしたオペラを作曲したのだという。

「信じがたいけど、この前、大使館の晩餐会で聞いたの」

外交官の娘である里子だからこそ知りえた話だった。

「タイトルは『蝶々夫人』。日本人の女性とアメリカ人の海軍士官の恋物語なんだって」

「日本の女性・・・誰がやるんだろう?」

「今の予定では、日本髪のかつらをかぶってこっちの人がやるみたいだけど・・・似合わないよね?日本人が世界的舞台に立てる唯一にして最大のチャンスよ」

欧米ではアジア人は日常的に差別を受ける。

まして西洋の芸術の世界でアジア人が成功することなど、不可能と言ってもよい。

日本からの留学生は箔を付けたいだけか、旅行気分の者ばかりだ。

だからこそ『蝶々夫人』は、環にとって千載一遇のチャンスなのだ。

この日、嗣人は、祝杯用のワインを買って帰った。

個展の開催が決まったのだ。

早速、徹夜でキャンバスに向かう嗣人に刺激を受け、環は『蝶々夫人』のオーディションを受ける決意をした。

しかし、正式な手順を踏んでエントリーするには遅すぎた。

そこで環はミラノに飛び、スカラ座での公演のオーディションにいきなり押しかけて、歌わせてほしいと頼み込んだ。

出ていけと追い出されかけたが、一曲だけ聴こうと言う人がいて、何とか歌わせてもらうことができた。

それだけで、環は満足だった。

もともと受ける資格がなかったのだから選考の対象にもならないだろう。

ほかの受験者の歌声に圧倒され、自分はまだまだ勉強不足だとも感じていた。

ところが後日、パリのアパートメントに、一次審査通過を知らせる通知が届いた。

「やった・・・」

大喜びする環の声で、疲れて眠っていた嗣人が目を覚ました。

「ごめん、一次に通っただけなのに、あなたとは比べ物にならないけど、うれしかったの」

「僕もうれしい」

嗣人の腕の中で、環は幸せに浸った。

その後、予定どおり嗣人の個展が開かれ、新聞に批判が掲載された。

『ただただ凡庸。すべてがものまね。若き日本人の画家への期待は裏切られた』

あまりの酷評に嗣人は茫然とするばかりで、環も、かける言葉が見つからなかった。

朝ドラ「エール」第12週60話のネタバレ

秋が来て、嗣人(金子ノブアキ)はまたホームパーティーを開いた。

その日は、イギリス人のアダムという男性が来ていた。

絵の展覧会や舞台などのプロデュースをしているというアダムは、嗣人に、双浦環(柴咲コウ)を紹介してほしいと頼んできた。

嗣人は、客たちのために酒の用意をしている環のところへアダムを連れていった。

「僕がお酒作るから、行きな」

環たちと入れ替わりに画家崩れの日本人の男が来て、環に関する噂話を始めた。

「どうもプッチーニが目をつけてるらしい。ほら、例の『蝶々夫人』。自信作だったのに、初演、最悪の評価だったろう。起死回生に狙ってるのが、日本人の役を日本人でやるってことみたい。あの外国人もそれで来てんじゃないの」

確かに環は、アダムからロンドンで『蝶々夫人』のオーディションを受けないかと誘われていた。

パーティーのあと、環は嗣人に相談した。

「オペラハウスの公演は、キャストを一新してやるんだって。どう思う?受けていい?」

「当たり前じゃないか。大きなチャンスだよ」

「まだ先の話だけど、一ヶ月くらい行かなきゃいけないし、大丈夫かなって」

「大丈夫って、僕が?僕の何が心配なの?」

「ううん、許してくれるなら行く」

「結婚してるわけじゃないんだ。許すもへったくれもない。行きたければ行けばいいさ」

「嗣人、うれしくないの?」

「うれしいさ!うれしいに決まってるだろう!僕の愛する人が、あのプッチーニの歌をオペラハウスで歌うかもしれないだよ!うれしいよ!誇りだよ!頑張って!応援する!」

「ありがとう・・・」

環はロンドンでのオーディションを順調に勝ち進んだ。

最終選考に残ったのは三人。

運命の日を翌日に控え、ホテルで過ごす環のところに、里子が訪ねてきていた。

「自信は?」

「ただ楽しみなだけ」

「三人まで残っただけでもすごいけど」

「ここで負けたら一緒だから」

環の返事を聞いて、里子は深いため息をついた。

「実はね、私も昔、バレエで世界を目指してたの。ニ十歳のとき、諦めた。差別と体格差がどうしようもないって・・・」

「里子なら、まだ目指せるよ」

「気休め言わないで!」

「・・・ごめん」

「私こそ・・・ごめん・・・正直・・・悔しいの・・・。あなたと私は違う。私は、資格もないオーディションに行く根性はない。嗣人さんも、同じ気持ちだと思う」

「え?」

「・・・私、嗣人さんのこと、好きだった・・・。ごめん、ごめん、どうでもいいことだ。今、あなたの目の前には、オペラハウスがあるの。それをつかみ取る。それだけに集中して」

「里子・・・。いろいろ、ありがとう」

「世界をぎゃふんと言わせて!」

その後、嗣人は行きつけのカフェのオーナーのフィリップから、店で個展を開かないかと誘われた。

新聞での酷評に傷ついていた嗣人にはうれしい出来事で、上機嫌で帰宅すると、オーディションを終えた環がロンドンから帰ってきていた。

「合格したの。私、オペラハウスに、立つ」

環の言葉を聞いたとたん、嗣人は大声で笑いだした。

「傑作だ!俺が街のカフェで個展やらないかって誘われていい気分になってるときに、君はオペラハウスだ!」

自棄になって、嗣人はアトリエ内のキャンバスをなぎ倒し始めた。

「君と俺の何が違うんだ!たった一年で君は最高峰の舞台に立つのに、俺は、俺は・・・」

「嗣人、しっかりして!あなたには才能がある!」

「どうして分からないんだ!その優しさが人を苦しめるのに・・・どうして、どうして」

その場に崩れ落ちた嗣人は、隠し続けてきた胸の内を明かした。

「君の失敗を願ってる。どんなに喜ぼうとしても、心の奥底から嫉妬があふれてくる。俺は、君という光の影でいるのは、耐えられない・・・。環・・・歌を諦めてくれ。君を愛してる。頼む」

環は居たたまれず、アパートメントを飛び出した。

外には冷たい雪が降っていた。

凍えながらカフェに駆け込むと、フィリップが熱いコーヒーをいれてくれた。

「どうするんだい?」

「私は、光でいたい。傲慢ですか?」

「自分に嘘をつくことが最大の罪だ。それでいい、それが君の人生だ」

また春がやって来た。

嗣人の元を去った環は『蝶々夫人』でプリマドンナを務め、公演は、オペラハウスに続いてニューヨークでも大成功を収めた。

双浦環の名は、世界中に響き渡っている。

同じころ、嗣人はフィリップの店で個展を開いていた。

そこに、ピエールという批評家がやって来た。

展示された作品の中の一つを指して嗣人に尋ねる。

「この絵を譲ってもらえないか?ほかは凡庸だが、この絵だけはすばらしい」

「ありがとう。でもその絵は、だめです」

「残念だ。僕は君のことをこき下ろしたが、この絵を描けるなら、まだ将来はある、と思うが・・・」

「では、無理です。もうそんな女性には巡り会えませんから」

そこには、プリマドンナとして舞台で歌う環の姿が描かれていた。

朝ドラ「エール」第12週「アナザーストーリー」のネタバレ

あの世

ある日、音(二階堂ふみ)が華を寝かしつけていると、白装束に三角頭巾を付けた亡き父・安隆(光石研)が現れた。

安隆はあの世で宝くじに当たり、閻魔様から1泊2日の現世旅行を許されたと言う。

先に訪ねた吟(松井玲奈)は驚いて逃げてしまったらしいが、音は驚きながら安隆を受け入れた。

そこへ裕一(窪田正孝)が帰宅する。

音から父の命日が近いと聞かされ、豊橋の方向に手を合わせる裕一。

裕一には何も見えていないが、誠実な人柄に安心する安隆。

音に必ずまた歌うのだよと告げて、妻・光子(薬師丸ひろ子)のもとへ旅立つ。

光子は三女の梅(森七菜)のことを心配していた。

梅は、文学を教えてあげていた幼馴染が、自分より先に文芸誌の新人賞を受賞し、ショックを受けているようだった。

安隆は、梅に負けを認めることで人は成長できると諭し、光子には仕事と子育てに対するねぎらいの言葉をかけ、別れを告げる。

安隆は最後に作業場を覗く。

光子に惚れている職人頭の岩城(吉原光夫)に対し「光子との再婚を許す」と手紙を置く。

気配に気がついた岩城は「安隆さんといるおかみさんが好きなので」と返事を書く。

安隆は笑ってあの世へ帰っていくのだった。

神田

バンブーのオーナー・梶取保(野間口徹)と妻の恵(仲里依紗)が2人の馴れ初めを裕一と音に語り始めた。

10年ほど前、保は古書店を営んでいた。

常連客の木下一は内気な保の性格が気がかり。

ある日、店に恵が訪れ、保と会話するようになった。

いい雰囲気になるのだが、3ヶ月経っても2人の仲は進展いないまま。

木下が親戚の少年を連れて行くと、少年は保に「好きなら行動しようよ」とアドバイスをする。

アドバイスされた保は変わり始め、遂に恵の心を射止める。

その少年の名前を聞いて驚く裕一と音。

おませな少年の正体は佐藤久志(山崎育三郎)だったのだ。

パリ

時は遡り、1913(大正2)年。

若かりし環(柴咲コウ)が歌の修行でパリにやってきていた。

新進気鋭の画家・今村嗣人と恋に落ち、共に暮らしている。

環が周囲の注目を集め、オペラハウスで上演される『蝶々夫人』のヒロインの座をつかみ取った一方、嗣人は個展を開いても凡庸と酷評されてしまう。

環という光の影でいることが耐えられない嗣人は、歌を諦めて欲しいと環に懇願。

環はそんな嗣人に別れを告げ、光続けることを選んだのだった。

 
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