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朝ドラ「エール」第9週ネタバレ!鉄男(中村蒼)の恋路と裕一のレコードデビュー

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朝ドラ「エール」第9週ネタバレ!鉄男(中村蒼)の恋路と裕一のレコードデビュー

朝ドラ「エール」第9週のあらすじ・ネタバレを紹介していきたいと思います。

「エール」の第9週では、裕一(窪田正孝)のレコードデビューもあるのですが、鉄男(中村蒼)と希穂子(入山法子)という女給の恋の話がメインになります。

そしてその恋を目の当たりにした音(二階堂ふみ)も感じるものがあり、「椿姫」最終選考へと望みます。

それでは第9週はどうなるのか、ネタバレしていきたいと思います。

この第9週も青春ですね!

恋ですね恋!

そして恋を切っ掛けに未来へと!

先生

朝ドラ「エール」第9週のあらすじネタバレ「東京恋物語」

「紺碧の空」で自信を取り戻した裕一(窪田正孝)は、福島で新聞記者をする鉄男(中村蒼)を呼び出す。

自分が曲を作って久志(山崎育三郎)が歌うので、詞を書いてほしいと頼む。

一方、音楽学校の記念公演のヒロイン役最終選考に向けて、音(二階堂ふみ)は男女の機微を学ぶために男女の社交場のカフェーで働くことにする。

心配した裕一に頼まれて店に様子を見に来た鉄男は、そこで店員の希穂子(入山法子)を見て驚くのだが・・・。

朝ドラ「エール」第9週41話のネタバレ

昭和七(1932)年1月のある日、裕一(窪田正孝)はバンブーで鉄男(中村蒼)と話をしていた。

福島で新聞記者として働く鉄男に、話があるから上京するようにと、裕一が頼んだのだ。

「鉄男君。僕と曲作んないが?君もそろそろ夢に向がって進む時期だ!」

「・・・俺に詞書げってごどが?」

「そう!君が背中押してくれだがら、僕は音楽続けでこられだ。だがら今度は君の番だ。しかも歌うのは久志だ。」

裕一が熱弁を振るっているところに、久志(山崎育三郎)もやって来た。

「久しぶり。覚えてると思うけど、佐藤久志です。」

「・・・議員の息子が。すぐいなぐなるやづだ」

同じ小学校に通った幼馴染が三人、顔を合わせたというわけだ。

「東京に来なよ、一緒に夢かなえよ!なんか燃えできた!」

裕一はすっかり熱くなっていたが、鉄男は冷静だった。

「悪いげど、今は、記者の仕事で手一杯なんだ。詞はいづでも書げる。それより、まずはきっちり仕事して安定した給料もらって、家族を養えるようになんねえど」

すぐに所帯を持つわけではないが、何事も準備は必要だと、鉄男は堅実に考えていた。

「そだよね・・・君には君の計画がある・・・。福島がらわざわざ出できてもらっちって・・・ごめん・・・」

「それはかまわねぇよ。どうせ東京には用事あった」

「取材か?」

久志が尋ねると、鉄男は返事を濁した。

「で、でも・・・もしまだ詞書きたぐなったら・・・」

「ああ。そんときはお前が曲をつけでくれ」

「うん!したら久志、歌ってくれるよね」

「もちろん。僕はいつでも」

その日の夕飯の席で、音(二階堂ふみ)は裕一に双浦環(柴咲コウ)が学校に来ていることを話した。

「環さん、記念公演の審査員もやるんだって」

記念公演の主役を目指し、一次審査に合格している音は、環の前で歌うことになる。

「今から緊張しちゃう」

「大丈夫。いづもどおりにやればいいよ」

「・・・そうだね。ありがと。鉄男さんは元気だった?」

「ああ。音によろしくって。また来るって言ってだよ。最近よぐ東京に出できてるらしい」

裕一は、鉄男を東京に呼び出したことを少し悔やんでいた。

「いろいろあってやっとこごまで来たのに、軽々しぐ東京来いなんて言って、悪いごどしちゃったな・・・」

「そんなことないと思うよ?故郷の幼馴染に気にかけてもらえて、うれしかったんじゃないかなぁ」

「そうだといいげど・・・」

翌日、裕一は廿日市(古田新太)から新曲を作るよう指示された。

「地方小唄。作ろうと思ってんのよ。流行ってるでしょ、今」

地方小唄とは、今で言う“ご当地ソング”だ。『東京行進曲』などがヒットしていることを受け、新人作詞家の磯貝王次郎が横浜の地方小唄の詞を書いたのだという。

「第二の西條八十って言われてる大型新人。君、曲つけてよ」

「え、ぼ、ぼ、僕でいいんですか」

「これ、大抜擢よ?社長もこの曲に社運懸けるって」

「えっ・・・あ。ありがとうございます!頑張ります!」

上機嫌で会社の廊下を歩いていた裕一は、木枯(野田洋次郎)に声をかけられた。

「聞いたよ、『紺碧の空』。あれ最高だな」

「本当に?うれしいな・・・」

「今夜空いてる?お祝いされてよ。新しい子が入ったんだよ」

「ぼ、僕はもう、ああいうどごは・・・」

裕一は抵抗したが、結局カフェーへ連れていかれた。

二人の席には、新人の女給・希穂子(入山法子)がやってきた。

木枯は希穂子に、裕一は早稲田大学の応援歌の作曲家なのだと話した。

「まぁ、すごい!」

「ああいうのは俺には書けない。西洋音楽の基礎があるって強いよな。やっぱり君は天才だよ」

「木枯さんのお墨付きなら、優秀な方なのね」

美人の希穂子に褒められて、裕一は照れてしまう。

「いえ、そだごど・・・僕なんかまだまだ」

「もしかして、福島ですか?」

「え、よぐわがりましたね」

「少しだけいたことがあるんです」

そして、希穂子はお国なまりで言い添えた。

「福島、いいどごですよね」

この日、裕一は、帰宅前に自分の服の匂いを入念に確かめた。

以前カフェーに行った際は、ワイシャツに付いた口紅の跡が証拠となって音を怒らせたので、その点の確認も怠らなかった。

「た、ただいま・・・ま、まだ起きてたんだ」

「明日二次審査だから。譜面、見直しとこうと思って」

夢中で譜面を読む音を見て、裕一は事なきを得たとほっとした。

次の日、東京帝国音楽学校では、記念公演に向けて出演者の選考会が行われた。

「それでは、ヴィオレッタ役の第二次審査を始めます」

一次選考に合格した者がたちが、環ら審査員を前に次々に歌を披露していく。

千鶴子は堂々たる歌いぶりで、音は笑顔で歌い上げた。

全員が歌い終えると、環が候補者たちに尋ねた。

「皆さんに一つ質問があります。歌っているとき、何を考えていましたか」

ある者は無心だったと答え、ある者はブレスに気をつけていたと答えた。

千鶴子は、ここでも落ち着き払っていた。

「観客に楽しんでもらえるようにと、考えていました」

続けて音が答える。

「私は・・・歌って楽しいな、と思いながら歌ってました」

候補者たちはその後、別室に移動して結果を待った。

教官が入ってくると、音の緊張は一気に高まった。

「それでは、審査結果を発表します。最終選考に進むのは、夏目千鶴子さん。・・・そして古山音さんのお二人です。」

朝ドラ「エール」第9週42話のネタバレ

音(二階堂ふみ)は双浦環(柴咲コウ)のところに飛んでいき、礼を言った。

「ありがとうございました!何だか夢みたいです。正直、今回はだめかもしれないと思ってました。皆さん、レベルが高かったから・・・」

「古山さんは、審査の基準を十分に満たしていたわ。ただ・・・あなたは、夏目さんには勝てない。正直言うと、あなたの歌には惹かれるものが何もなかった」

夢心地は一瞬で消え去り、音は必死で動揺を抑えた。

「・・・確かに私は、千鶴子さんみたいに恵まれた教育を受けたわけではないし・・・」

「そういうことではなくて。自分だけが楽しんでるようでは、プロとしては通用しない。あなたは何を伝えたいの?どこまで役を理解してる?」

答えられない音に、環はとどめを刺した。

「何も伝わってこなかったの、あなたの歌からは」

「・・・だったらなぜ、最終選考に残したんですか。勝てないなら意味ないじゃないですか」

「今のままでは、という意味よ」

そう言い残して、環は去っていった。

記念公演で上演されるオペラ『椿姫』の舞台はパリだ。

田舎の御曹司・アルフレードは、社交場の華であるヴィオレッタに恋をする。

ヴィオレッタもまた彼を愛し、二人は互いの思いを確かめ合うのだが、ある日アルフレードの父がヴィオレッタを訪ねてきて、息子の幸せを願うならば別れるようにと迫った。

ヴィオレッタはそれを受け入れ、ほかに好きな人がいるという嘘の手紙をアルフレードに送った。

アルフレードは手紙を読んで怒り、二人は別れることになる。

ヴィオレッタは胸を患っており、余命わずかだった。

命の灯が消えようかというとき、アルフレードが現れ、ヴィオレッタへの愛を伝える。

しかし時すでに遅く、ヴィオレッタは天に召されるのだった・・・。

音は、悲恋の物語の主人公・ヴィオレッタの気持ちが理解できていなかった。

「好きなら好きって言うべきよ」

そんなことを言う音に、久志(山崎育三郎)は、もっと恋愛経験を積まなくてはいけないのかもしれないと言う。

だが、音は人妻だ。

そこで実体験の代わりに、恋愛小説を片っ端から読むことにした。

一方、裕一(窪田正孝)は、廿日市(古田新太)から地方小唄の詞を渡され頭を抱えていた。

『横浜囃囃子』というタイトルの詞は、名所の名前が並んでいるだけで、伝えたいことなど何も込められていなかった。

「これ、どんな気持ちで曲つけだらいいのがわがんないよ・・・」

「裕一さんも大変だね・・・」

音の方も恋愛小説が役作りに役立っているという自信が持てず、不安だった。

「そうか・・・分かった!ねえ裕一さん、この前、またカフェーに行ったでしょう」

気づかれていたのかと裕一は仰天したが、音は怒っているわけではなかった。

「お願いがあるんだけど」

数日後、音はカフェーで新人の女給「音江」として働き始めた。

男女の社交場であるカフェーで働けば、社交場の華のヴィオレッタの心情がつかめるはずだと言い、木枯(野田洋次郎)に仲介を頼んで、一週間だけの約束で女給になることにしたのだ。

初日から張り切って接客をしていた音は、客のネクタイの柄が毛虫に似ていると言い、店のママに叱られてしまう。

「・・・あのね、思ったことをそのまま口にしているようじゃ、この仕事は勤まらないの。もう少し頭使ってちょうだい」

怖い顔で音をにらんでいたママに、客から声がかかった。

とたんにママは笑顔に切り替えて客の方へ向かっていく。

「はーい。ただいま!」

これは大事なポイントだと、音はメモを取った。

「お客さんには常に笑顔で・・・なるほど・・・」

すると、そばで聞いていた希穂子(入山法子)が教えてくれた。

「ここは夢を売る場所だからね」

着物の袖を押さえながらテーブルの上を整える希穂子のしぐさは、思わず見とれるほど美しい。

声のトーンも落ち着いていて、話しているだけで音は心が安らいだ。

「勉強になります!」

また気づいた点をメモする音を見て、希穂子がほほえんだ。

「音江さんって、ユニークね」

その笑顔にも、音は魅了された。

役作りのためだからと許したものの、裕一は、音がカフェーで働いていることが心配でたまらない。

仕事も順調とは言えず、『横浜囃囃子』の曲は、廿日市から却下されてしまった。

「せっかくチャンスあげたのに、これじゃあね。ま、いいよ。これ、ほかの作曲家にも頼んであったのよ。そっちで何とかなりそうだから」

だがその後、木枯から意外なことを聞かされた。

「チャンスなんかじゃねえよ、あいつ本当に適当だな」

『横浜囃囃子』の作詞をした磯貝は、実は親の七光りで作詞家になろうとしている重役の息子で、廿日市は、陰でババを引かされたとぼやいているという。

「そのババを、僕にあてがったってごど・・・?そうが・・・ちょっと期待されてんのがって勘違いしてだ・・・」

「君の才能を、あんなもんで無駄遣いする必要ないよ。切り替えて、次だ次」

木枯は励ましてくれたが、裕一は、次があるのかどうかさえも不安だった。

朝ドラ「エール」第9週43話のネタバレ

この日の夜、音(二階堂ふみ)はカフェーで機嫌の悪い客の席を担当することになった。

「おい、何もたもたしてんだよ。早くしろよ」

せかされながら酒のグラスを渡すと、一口飲んだとたんに客がどなりだした。

「なんだこの酒は!こんな薄い酒が飲めるか!」

そして客は、グラスの酒を音にひっかけた。

「何するんですか!」

「ガタガタ言うな、女給の分際で。お前ら、客に口答えできる身分じゃ・・・」

そこまで言われたところで音は耐えきれなくなり、やり返した。

グラスの水を客にかけたのだ。

その後は、控え室でママからこっぴどく叱られた。

「まったくとんでもない跳ねっ返りだわ。何考えてるの!」

そこに、希穂子が入ってきた。

「あの、音江さんをあまり責めないであげてください。私たちも悪かったんです。機嫌の悪いお客様を、まだ不慣れな彼女一人に任せてしまって・・・ごめんね、音江さん」

「・・・あ、いえそんな・・・こちらこそ、すみませんでした」

希穂子の優しさに、音は胸を打たれ、店内に戻ってから改めて礼を言った。

「さっきはありがとうございました。・・・私、すぐ感情が表に出ちゃうんですよね・・・もっと大人の対応しなくちゃって思うんですけど、なかなか・・・」

「でも、そこが音江さんのチャームポイントかもね」

女性らしく穏やかな希穂子は、自分にないものを全部持っていると、音は感じた。

「私が男なら希穂子さんみたいな人を好きになりますね・・・」

「まぁ光栄」

「実は私・・・恋愛の機微を勉強したくて、入店したんです。希穂子さんは、お客さんを好きになったことありますか?」

「うーん・・・ここではないかな」

「別のところではあったんですか?」

「さぁ、どうだったかしら」

ママが音に指名が入ったと知らせに来たため、話はそこまでになった。

「お待たせしました!」

指名客の席に行くと、なんとそこには鉄男(中村蒼)がいた。

「わ。本当に女給さんになってる」

休暇で東京に来たという鉄男は、古山家を訪ね、音を心配する裕一(窪田正孝)に代わって様子を見に来ることになったのだと言う。

「なら一緒に来ればいいのに」

「そうもいがねぇだろ、男どしては」

遅れて希穂子も席に来ると、鉄男の顔色が変わった。

希穂子のほうも鉄男を見て絶句している。

「・・・どしてこごに・・・ずっと捜してだんだ。なんで急にいなぐなった。希穂子。ちゃんと説明してくれ」

「お話しすることはありません」

去ろうとする希穂子の腕を鉄男がつかんだ。

希穂子があらがい、二人がもめているとボーイが飛んできた。

「おい、何やってんだ」

騒ぎに気付いた周りの客たちがざわつく中、音は、感情的になっている鉄男を必死でなだめた。

その後、鉄男と希穂子は古山家の居間で話をした。

裕一と音が席を外し、二人きりになると、鉄男はもう一度、いなくなった訳を希穂子に尋ねた。

「・・・田舎にいるのが、嫌になったからです。・・・村野さん、ご結婚されるそうですね。おめでとうございます」

「結婚なんかしねえ!あれは向ごうが勝手に・・・」

「ご挨拶もなしに上京してしまったことはお詫びします。でも私からお話しすることはありませんので」

鉄男が止めるのも聞かず、希穂子は出ていってしまった。

音は希穂子の後を追い、バンブーに誘った。

コーヒーを飲みながら事情を聞くと、鉄男とは福島の料亭で仲居をしていたときに出会い、つきあっていたのだという。

ある日、その料亭に、鉄男が、勤め先の新聞社の社長・堂林と共にやって来た。

堂林は、娘の仁美も連れてきていた。

「村野君。君は仁美をどう思ってんのがね」

答えに詰まっている鉄男に、堂林はこう続けた。

「僕はね、村野君。うぢの会社を、ゆぐゆぐは君に任せだいど思ってんだよ」

そんな会話を、希穂子はふすま越しに聞いてしまったのだ。

音と希穂子がバンブーにいる頃、古山家では、裕一と鉄男が酒を飲みながら話していた。

「縁談なんてもんじゃねえ、一方的な話なんだ。俺は承知してもいねぇし、折を見で断るつもりだった」

だが、希穂子は鉄男の前から消えた。

東京に行ったらしいと聞いて、鉄男はたびたび上京し、あちこち捜し歩いていた。

「・・・優しい女なんだ。貧しい家に育って、今も病気の親抱えで苦労してんのに、けなげで明るくて・・・。」

「彼女どいっと、ねじくれだ気持ぢがすーっと消えで、素直になれる。こんなごど初めでだ」

二人で公園でデートをしたときの写真を見つめながら鉄男はつぶやいた。

「福島に連れで帰りでえ。希穂子と一緒になりでえんだ」

だが希穂子のほうは、音にこう言っていた。

「結局、ご縁がなかったのよ。今はただの知り合い。それだけよ」

希穂子と別れて音が帰宅すると、鉄男が泥酔してひっくり返っていた。

「最低だ・・・俺がグズグズしてっから、希穂子に見限られだんだ。俺はどうしようもねえばがだ・・・。うおおおおお!きほこー!」

大暴れする鉄男をなだめるのに苦労して、裕一と音はその晩、ろくに眠ることができなかった。

翌日、授業前で音がおおあくびをしていると、和子が訪ねてきた。

「またカフェーの仕事で夜更かし?」

「ううん。ゆうべは主人の友達が泊まりに来とって。酔って暴れて大変だったの」

「え・・・主人?まさか音さん、結婚・・・してるの?」

「あれ、言っとらんかったっけ」

「嘘でしょ!?」

潔子も仰天して、大きな声をあげた。

「人妻で学生で、カフェーの女給ってこと!?」

その声が耳に入ったらしく、離れた席にいた千鶴子が、音の方を振り返った・・・。

朝ドラ「エール」第9週44話のネタバレ

その後、音(二階堂ふみ)はレッスン室で千鶴子から厳しい言葉をぶつけられた。

「あなたのやってることはめちゃくちゃだわ。私はね、子供の頃から、音楽のためにすべてを犠牲にしてきたの。」

「人生のほとんどの時間を練習に費やしてきたの。なのにあなたは、音楽も家庭も友達も恋愛も。」

「何でも欲しがって手を伸ばす。あなたみたいな強欲な人に、私は負けるわけにはいかないの」

「強欲・・・」

「私は私のすべてを懸けて、ヴィオレッタを勝ち取ってみせるから」

この日、音がカフェーで働く最後の日だった。

閉店後にママと希穂子と話をしていると、女給の愛子が駆け込んできた。

「すみません、何かフロアでもめてるんですけど」

3人で出ていってみると、鉄男(中村蒼)がボーイと口論になっていた。

「だから困るんですよ。出てってください!」

「少しでもいいんです」

鉄男は希穂子に気づき、話がしたいと頼み込んだ。

しかし、希穂子の態度は冷たかった。

「お引き取りください。・・・分からない?迷惑してるの。福島を離れたのは、あなたが重荷になったからです。勘違いされて困ってたの。・・・お帰りください」

無言で立ち尽くしていた鉄男は、きびすを返して去って行った。

希穂子は控室に戻っていき、音も後に続いた。

部屋に入ると、希穂子の丸まった背中が見えた。

音は、かける言葉が見つからなかった。

裕一(窪田正孝)は、落ち込んで帰ってきた鉄男のために料理を作り、久志(山崎育三郎)も招いて3人で酒を飲んだ。

最初は意気消沈していた鉄男も、酒が進み、思い出話に花が咲くうちに、調子を取り戻してきた。

「いいもんだね。故郷の友達と飲むのは」

久志の言葉に、裕一も笑顔で頷いた。

「君が鉄男君を東京に呼ぼうと言い出した時は、さすがに驚いたけどね」

「ごめん。あんときは舞い上がってで・・・」

「いや・・・うれしがったよ。こご最近、詞のごどなんて忘れてだがら」

そして鉄男は、一枚の紙を取り出した。

「・・・実は、書いでみだんだ・・・」

そこには、『福島行進曲』というタイトルの詞が書かれていた。

鉄男は裕一から、地方小唄を作曲したがボツになったという話を聞いていた。

それをきっかけに、福島を題材に詞を書いたのだ。

読み終えた裕一の顔が、パッと明るくなった。

「・・・いい。すごぐいいよ、鉄男君!・・・『紺碧の空』を作ったどぎ、歌詞に共感するってすごぐ大事なごどなんだってわがった。こういう、心にグッとくる歌詞との出会いを、ずっと待ってだ」

そして裕一は、鉄男をまっすぐに見つめた。

「・・・鉄男君。この詞に、曲つけさせでくれないが」

「わがった・・・いい曲つけでくれよ」

「ありがと!久志、君が歌ってくれるが」

「僕以外にいるの?」

「よし、乾杯しよう!」

三人でグラスを合わせると、鉄男に笑顔が戻った。

裕一はその晩のうちに『福島行進曲』のメロディーを書き上げ、翌日には廿日市(古田新太)に見せた。

すると、後ろから楽譜を覗いた杉山が口を開いた。

「私は、とてもいい曲だと思いますが。横浜の地方小唄の話は結局流れてしまいましたし、ほかのレコード会社がまだ目をつけていない東北方面の地方小唄なら話題にもなりやすいかと」

「そうか。うん。じゃこれで作ってみよっか」

廿日市は、裕一が拍子抜けするほどあっさりと答え、レコードが吹き込まれることになった。

ただし、歌うのは久志ではない。

無名の学生をいきなり起用するのは難しく、廿日市が川野三津代という女性歌手を連れてきた。

数週間後、裕一は『福島行進曲』のレコードを手にした。

上京して二年目の春、ようやく裕一は作曲家デビューを果たした。

音はお祝いに鯛の尾頭付きを奮発し、記念すべきデビュー作のレコードを今の棚に飾った。

「裕一さん、おめでとうございます。・・・福島のご家族も、聴いてくれたらいいね」

「・・・うん」

複雑な顔で裕一はうなずいた。

朝ドラ「エール」第9週45話のネタバレ

保(野間口徹)と恵(仲里依紗)もレコード発売を喜び、バンブーでお祝いのパーティーを開こうと音(二階堂ふみ)に持ち掛けてきた。

その数日後、音はカフェーへ出向き、希穂子(入山法子)をパーティーに誘った。

「私、彼にひどいこと言った。いまさら合わせる顔なんてないわ」

「でも、あれって嘘ですよね。本当にまだ、鉄男(中村蒼)さんのこと好きですよね?」

「いいえ」

「・・・昔の私は、何でも言葉通りに受け取ってました。でも、最近ようやくわかったんです。」

「人は裏腹なことを言う。鉄男さんのこと、お祝いしてあげてくれませんか」

「できないわ。・・・彼とはもう、二度と関わらない約束だから」

一ヵ月ほど前、まだ希穂子が福島の料亭で働いていた頃のことだ。

堂林が、希穂子を訪ねてきたという。

「村野君はいい男だ。わが堂林家の婿には、ああいう骨のある男が欲しいど思ってだんですよ。」

「娘も彼にぞっこんだ。ただ、結婚する前に身辺をきれいにしといでもらいだい」

そう言って堂林は、希穂子に封筒を差し出した。

「このお金で、お父さんの病気を治してやりなさい」

断れば鉄男を解雇すると言われ、希穂子は金を受け取った。

それは、鉄男への思いにふんぎりをつけるためでもあった。

「・・・鉄男さんは、それで幸せなのかな」

事情を聞いても納得できない音に、希穂子が言う。

「愛情なんて不確かなものよ。一時の感情でチャンスを逃してしまった人たちを、私はたくさん見てきた」

「・・・それでもやっぱり、希穂子さんに来て欲しいです。一言でいんです、おめでとうって言ってあげてほしい。」

「あんな別れ方じゃ、鉄男さん、いつまでも希穂子さんのこと引きずってしまう。」

「幸せを願っとるなら、せめて最後に、応援の言葉をかけてあげてくれませんか」

音は懸命に説得したが、希穂子は黙って聞いているだけだった。

レコード発売を祝うパーティーは、閉店後のバンブーで開かれた。

保と恵は店内に飾り付けをし、料理も酒もたっぷり用意してくれた。

裕一(窪田正孝)と音、鉄男と久志(山崎育三郎)、保と恵がそろったところで乾杯をし、一同は大いに盛り上がった。

『福島行進曲』は鉄男にとっても作詞家としてのデビュー作だ。

「ありがとな。お前が誘ってくれながったら、まだ詞を書ごうなんて思わながった」

礼を言う鉄男に、裕一は笑顔で答えた。

「こっちごそ。初めでのレコードを、君と作れでうれしがった。」

「本当は久志に歌ってほしかったげど、力及ばなくてごめん。」

「で、でも諦めでないがら。鉄男君ど久志と僕、いつか必ず、三人でレコード出す。“福島三羽ガラス”だ!」

そのとき、店のドアが開いた。

入ってきたのは、希穂子だった。

「遅くなってごめんなさい。このたびはおめでとうございます。これ、皆さんで」

希穂子は、よそ行きの笑みを浮かべ、お祝いの洋酒を裕一に手渡した。

「村野さん・・・先日は言葉が過ぎました。ごめんなさい。」

「・・・今後のご活躍をお祈りしています。・・・それじゃ、私はこれで」

立ち去ろうとする希穂子の前に、久志が歩み出た。

「はじめまして。鉄男君の親友の佐藤久志と申します。せっかくいらしたんです。ここはみんなで『福島行進曲』を聴きませんか」

希穂子が戸惑っているうちに、久志は保に頼んでレコードをかけさせた。

♪胸の火燃ゆる宵闇に 恋し福ビル引き眉毛

サラリと投げたトランプに 心にゃ金の灯愛の影

皆が曲に聞き入っていると、鉄男がつぶやいた。

「・・・この詞を書げだのは、君のおがげだ。・・・俺やっぱし、希穂子じゃなきゃだめだ」

抑えきれない思いを鉄男は言葉にした。

「・・・俺ずっと、自分の生い立ぢを恨んでだ。なんで自分ばっかしってひねぐれで、世の中恨んで人妬んで・・・。」

「こんなどうしようもねえ俺に、君は寄り添ってくれだ。話聞いでくれだ・・・君のおがげで、世の中捨てだもんじゃねえって、やっと思えるようになったんだ」

「・・・私はそんな、いい人間じゃありません」

「・・・ああ。君が時々、嘘つくごども知ってる。でも、それは自分のためじゃねえ、いづだって人のためだ。」

「人の痛みに敏感で、人の幸せばっかし願ってる。優しい人だ。けど、もう一人で頑張らなくていい。」

「俺、生まれで初めで人生の目標が出来だ。希穂子を一生、守りてえ。どんな境遇だって乗り越えられるって、二人で証明したい」

涙をこらえている希穂子を、鉄男はまっすぐに見つめた。

「希穂子。俺ど一緒に生きてくれないが」

「・・・村野さん・・・私・・・」

長い沈黙のあと、希穂子が顔を上げた。

「私、結婚が決まったんです。彼は・・・頼りがいがあって、経済力もあって、私のこと、とても大事にしてくれて・・・父の治療費のことも任せなさいって・・・とってもいい人だ」

希穂子は笑顔で語り続ける。

「来週、彼と大阪に行きます。だからもう・・・ご心配いただかなくて大丈夫ですから。ありがとう。楽しかった。・・・さようなら」

一礼して店を出ていくまで、希穂子は笑みを絶やさなかった。

音と千鶴子のどちらが『椿姫』の主役を演じるのか。

最終選考会には、審査員として環や音楽学校の学長、音楽ホールの総支配人ら、そうそうたる面々が顔をそろえた。

先に歌ったのは音だった。

曲は『さようなら、過ぎ去った日よ』。

愛する人の幸せを願い、そのために偽りを口にするヴィオレッタと、希穂子の姿とが、音の中で重なった。

そしてその思いが音自身のものであるように感じられた。

ヴィオレッタになりきって歌う音の瞳からは、涙があふれた。

音の歌声に審査員たちは惹きつけられ、千鶴子は青ざめていた。

選考会の結果が気になって、裕一はその日、急ぎ足で帰宅した。

家から飛び出してきた音は、満面の笑みを浮かべ、両手で大きな丸を作ってみせた。

「よがった・・・よがった!」

二人はしっかり抱き合い、喜びを分かち合った。

朝ドラ「エール」第10週のあらすじネタバレ「響きあう夢」

ヒット曲に恵まれない裕一(窪田正孝)は、木枯(野田洋次郎)から売れっ子作詞家の高梨一太郎を紹介される。

高梨に見込まれ裕一が作曲した「船頭可愛いや」は藤丸(井上希美)の歌でレコードに。

しかし廿日市(古田新太)の期待もむなしく全く売れない。

そこで起死回生で取られた手段とは!?

一方、音楽学校のオペラ公演に向け、音(二階堂ふみ)らは、環(柴咲コウ)のもと本番に向けて稽古に励んでいたが・・・。

この第10週もまたドラマがありますですよ。

もうね、音にとっても裕一にとっても大きな出来事があります!

第10週のネタバレに続く

先生

 
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