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朝ドラ「エール」第13週ネタバレ!スター発掘オーディション!

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朝ドラ「エール」第13週ネタバレ!スター発掘オーディション!

朝ドラ「エール」第13週のあらすじ・ネタバレを紹介していきたいと思います。

「エール」の第13週では、スター発掘オーディションとして、コロンブスレコードが新人歌手を発掘しようとオーディションを行います。

そして、このオーディションに佐藤久志(山崎育三郎)、更に久々の登場となるミュージックティーチャー御手洗(古川雄大)も登場します。

それでは、第13週について紹介していきたいと思います!

この第13週では、前回と同じようなスピンオフのような話ですね。

コメディタッチなこの展開で、久志はどうなる!?ミュージックティーは!?

先生

朝ドラ「エール」第13週のあらすじネタバレ「スター発掘オーディション!」

安定した作曲家生活を送るようになった裕一(窪田正孝)は、廿日市(古田新太)からオーディションで発掘する新人歌手のデビュー曲の作曲を依頼される。

裕一は、いまだ歌手デビューできていない久志(山崎育三郎)にオーディションへの応募を勧める。

一方、かつて音(二階堂ふみ)に歌を教えていた御手洗清太郎(古川雄大)も豊橋から上京。

二人は、一つの合格枠をめぐってライバル心を燃やす。

そしていよいよオーディション当日!

朝ドラ「エール」第13週61話のネタバレ

昭和十一(1936)年、コロンブスレコードと契約をして五年が過ぎ、裕一(窪田正孝)は地方小唄やプロ野球の球団歌を数多く手がけ、安定した作曲家生活を送っていた。

音(二階堂ふみ)はそんな裕一を支え、四歳になってやんちゃ盛りの華に時に手を焼きながらも、平穏な日々に幸せを感じていた。

ある日、裕一は、廿日市(古田新太)から、コロンブスレコードが専属新人歌手のオーディションを行うと聞かされる。

「木枯が行ってから、テイコクが“イケイケドンドン”だろう?うちも新しいことをしないとさぁ。合格者のデビュー曲は君にお任せするから。ヒット曲、頼んだよ!」

裕一にプレッシャーをかけたあと、廿日市は皮肉っぽく付け足した。

「君、ずーっと低め安定だから。そろそろ第二の『船頭可愛や』が欲しいねぇ」

その後、裕一は、鉄男のおでん屋に行って愚痴を聞いてもらった。

「どうせ僕は低め安定だよ」

そこに久志もやって来た。

よそで飲んできた様子の久志(山崎育三郎)は、裕一に「帝都劇場」の公演チラシを見せた。

「ああ、気分悪い。こんなのが売れるなんて、世も末だよ!」

そこには“オペラの新星”として若い男性の写真が載っていた。

音楽学校での久志の後輩なのだという。

「歌も演技も、並み以下。ちょっと頭がいいからって、ワーキャー言われて。僕みたいな本物はだまされないよ」

荒れている久志に、鉄男(中村蒼)がきついひと言を投げかける。

「だったらお前もプロになれよ。後輩に先越されでる場合が?」

さらに裕一も、久志に追い打ちをかけた。

「卒業して、何年たった?」

久志は言葉に詰まり、四年前、この店で裕一たちに卒業祝いをしてもらったときのことを思い返した。

その日、鉄男に卒業後の身の振り方を尋ねられ、久志は自信満々で答えた。

「スカウトが来りゃ、即プロデビューさ」

しかし現在に至るまで、久志にスカウトの声はかかっていない。

「どう考えてもおかしい・・・この僕を見つけられないなんて、世の中間違ってる」

久志の不満を聞くうちに、裕一はコロンブスレコードの新人歌手募集の件を思い出した。

合格すれば、即レコードデビューだ。

「久志、応募してみなよ」

「コロンブス!?・・・お断りだね。『福島行進曲』が売れなかったのは、僕を使わなかったせいだよ。大体、デビューつったって流行歌でしょ?僕は、オペラを歌いたいんだよ!」

「だけど、流行歌ってものすごい数の人、聴いでくれんだよ。久志の声なら、絶対女性客の受けいいって!」

「まぁ、僕なら何を歌っても受けがいいと思うけどね。けど・・・君だって最初は西洋音楽志望だったろう。未練はないのか?」

「ない!・・・と言ったら嘘になっけど。流行歌がいかに大衆の心をつかむが、身にしみて感じたがらね」

おでん屋での会話がきっかけで、久志、裕一、鉄男は思い切った行動に出た。

久志に派手な衣装を着させて流しの歌手に仕立て上げ、三人で夜の酒場を回ることにしたのだ。

鉄男はギターで伴奏をし、裕一は空き缶を手に金を集める係となって久志を盛り上げた。

「お客さん、一曲どうですか!」

一軒目の居酒屋で鉄男が呼びかけると、客が空き缶に金を入れてくれた。

「得意なのやってよ」

そう言われて久志は、高らかにオペラを歌いだした。

客たちはぽかんとしたあと、一斉に不満の声を上げた。

「何、訳の分かんねぇ歌、歌ってんだ!」

裕一と鉄男は、慌てて久志を店の外に連れ出した。

「誰がオペラ歌えっつった!?金もらってんだぞ。ちゃんとやれよ」

鉄男に叱り飛ばされ、久志は次の店では『船頭可愛や』を歌った。

歌い終えると客たちはわっと盛り上がり、幼い息子を連れた貧しい身なりの男性が一銭玉を久志に差し出してきた。

「いい歌だった。おかげで明日も頑張れるよ」

「お兄ちゃん、ありがとう」

去っていく親子を見つめ、久志は一銭玉を握りしめた。

裕一はその晩、久志と鉄男を連れて家に帰り、酒場での出来事を音に話して聞かせた。

音は、小銭がたっぷり入った空き缶を見て驚く。

「すごい、こんなに!?」

「ま、僕が本気出せばそんなもんよ」

そんなことを言っていても、久志にとって今日が特別な日になったことは、裕一たちの目には明らかだ。

歌うたびに拍手喝采を浴びたこと、そして親子連れから受け取った一銭玉が、久志の心を動かしていた。

「オーディション、受けてあげるよ。コロンブスに、僕の力を貸そう」

その決意を聞いて、裕一も鉄男もやる気をみなぎらせた。

「久志が受かれば、“福島三羽ガラス”で売り出すのも夢じゃない。ぜひ、協力させでもらうよ」

三人は杯を交わし、共に夢をかなえようと誓い合った。

早速、裕一は、コロンブスレコードの専属新人歌手のデビュー曲を作り始めた。

久志のための曲になるのだと信じて取り組む裕一に、音が尋ねる。

「久志さんって・・・昔から歌が好きだったの?

「さぁ」

幼なじみではあるが、久志が歌の道に進むことになったきっかけは、聞いたことがなかった。

朝ドラ「エール」第13週62話のネタバレ

それは、久志(山崎育三郎)が十歳の頃のことだった。

福島の小学校に転校したばかりの久志は、朝食の席でこう尋ねられた。

「お友達はできた?」

「・・・玲子さんのご心配には及びません」

「玲子さん」とは、父・弥一の再婚相手だ。

久志(山口太幹)の実母の麻友は、三年前に弥一と離婚した。

その後、新しい母となった玲子(黒川芽以)のことを、久志は「お母さん」と呼べずにいた。

玲子と目を合わせることもなく、久志は学校へ向かった。

この日の音楽の授業で、久志たちは『ふるさと』を歌った。

授業のあと、久志は担任の藤堂(森山直太朗)に呼び止められた。

「佐藤、君の歌、すごくよかったよ。今度の学芸会で、一小節ほど独唱してみないか?」

「えっ・・・」

その場でもう一度歌わせようと藤堂が教科書をめくっている隙に、逃げ足の速い久志は姿を消した。

帰宅後、久志は、自室の小さな棚から手紙を取り出した。

ずっと会えずにいる母から送られてきたものだ。

手紙の最後は、こう締めくくられている。

『オトウサンヲササヘテ、リッパナアトトリニ、ナッテクダサイ』

母がくれた手紙はこの一通だけだ。

もう何度読み返したか分からない。

「お帰りでしたか」

家政婦の幸代が入ってきて、久志から手紙を取り上げた。

「返して!」

「旦那様に見つかったら面倒です。捨てられてもいいのですか」

そう言って幸代は、見つかりづらい場所に手紙をしまった。

「隠すなら、こちらのほうが安全です」

表情が乏しく、一見冷たそうな幸代だが、久志の寂しさを察してくれていたのだ。

「奥様がおやつを作ってらっしゃいます。はんぺん、だそうです」

「要らない。好きじゃない」

「では、いいかげんご自分でそうおっしゃいまし」

去りかけた幸代の背中に向かって、久志が問いかける。

「ねぇっ。お母さん、どこにいるの」

「・・・さぁ」

母からの手紙に住所は書かれていない。

だが封筒には、福島のとある町の消印が押されている。

「この町にいるんでしょ!?教えてよ!」

久志の必死の叫びに、幸代はそれ以上、知らぬふりはできなかった。

母のいる町へと、久志は一人で向かった。

ところが、住んでいるはずの家には別人が暮らしていた。

それ以上捜す当てのない久志は、川べりに座って一人ため息をついていた。

そこに、懐かしい歌声が聞こえてきた。

ハッとして声のほうを見ると、買い物籠を提げた麻友が歩いてくる。

久志と暮らしていた頃と同じように、母は歩きながら鼻歌を歌っていた。

久志が立ち上がりかけたとき、母は笑顔で手を振り始めた。

視線の先には、赤ん坊を抱いた職人風の男がいた。

「お待たせ。泣かなかった?」

「いい子だった」

二人の様子から、久志はすべてを察した。

母にはもう新しい家族がある。

いとおしそうに赤ん坊を抱く母の姿を、久志は茫然と見つめた。

そのとき、久志の頬にポツリと雨が当たった。

茂みに身を隠して母を見送ると、久志は握りしめていた手紙を破り捨てた。

雨が激しくなる中、久志は来た道を引き返した。

しかし家に戻る気にはなれず、学校へと向かった。

ずぶぬれのまま教室で一人、机に突っ伏していると、廊下から声をかけられた。

「どうしたの!?」

驚いて顔を上げると、藤堂がいた。

慌てて逃げようとする久志の前に、藤堂が立ちはだかる。

「・・・ちょっと話そうか」

藤堂は凍えている久志のためにストーブをつけ、ジャケットを貸してくれた。

窓の外は雨が降り続いている。

「どうしたんだ?佐藤?」

「・・・何もなかった。何かあるって思ったのに・・・何もなかった」

「・・・そうか」

それ以上のことは尋ねようとせず、藤堂は『ふるさと』を歌い始めた。

「うさぎ追いし、かの山~。佐藤も、一緒に!小鮒釣りし、かの川~。ほら!」

「夢は今もめぐりて・・・忘れがたき、ふるさと・・・」

誘われるまま小声で歌った久志を、藤堂はまた褒めてくれた。

「やっぱり君、いい声してるよ!もう一回大きな声で。せーの」

「うーさーぎーおーいし、かのやま~!」

今度は思い切って大きな声で歌ってみた。

涙があふれてきたが、久志は歌をやめようとはしなかった。

生まれて初めて、声の限り歌い続けた。

帰宅すると、玲子と幸代が玄関に飛んで出てきた。

「久志ちゃん!どこ行ってたの!こんなに冷えて・・・かぜ、ひいちゃうじゃない」

玲子は久志を抱き締め、体をさすった。

玲子のぬくもりが、久志の心にまでしみ渡っていく。

「お風呂沸いてるから、ごはんの前に温まっておいで」

「・・・あの。・・・お母さんのはんぺん、まだありますか」

「・・・もちろん!用意しとくね!」

この日が、久志が歌の道へ踏み出す第一歩となった。

朝ドラ「エール」第13週63話のネタバレ

鉄男(中村蒼)のおでん屋で顔を合わせた折に、久志(山崎育三郎)は、この日のことを裕一(窪田正孝)に話して聞かせた。

「ぐちゃぐちゃになった気持ちが、バーっと出て、スーっと消えてさ・・・ああ、歌っていいなぁって藤堂先生には、感謝してるよ」

藤堂(森山直太朗)のおかげで歌の才能を開花させ、音楽学校時代は“プリンス”と呼ばれた久志だが、コロンブスレコード専属新人歌手のオーディションを受けるにあたっては、一人の候補者にすぎない。

裕一は何とか久志を合格させたいと思い、廿日市(古田新太)はどんな歌手を求めているのかと尋ねてみた。

「誰に頼まれてそんなこと・・・テイコクか?」

廿日市にスパイ疑惑をかけられて裕一が反論していると、杉山が裕一の問いに答えた。

「わが社では、阪東妻三郎のような立派なマスクに、知性と品性とたくましさを兼ね備えた、三オクターブを難なく出せる、天才を求めています」

この日も裕一は、鉄男のおでん屋で久志に会い、コロンブスレコードが望む歌手像を伝えた。

要求レベルの高さに鉄男は眉をひそめたが、久志は平然としていた。

「心配は無用!トップ・オブ・トップがここにいるんだから」

だが裕一は心配でたまらず、久志が履歴書を提出に行く際にも付き添った。

コロンブスレコードのオフィスで杉山に履歴書を渡しているところに廿日市が現れたので、裕一は久志を紹介した。

「友人の佐藤久志です。今度のオーディションに応募するんです。声楽科出身の、かなり有望な人材です。何とぞ、ぜひっ、よろしくお願いいたします!」

「応募すんのは勝手だけど。こっちも遊びじゃないんでね。落ちても恨みっこなしよ」

この日、音(二階堂ふみ)は華を連れてバンブーへ行き、保(野間口徹)と恵(仲里依紗)に最近の裕一の様子を話していた。

「でね、作曲もしないで、久志さん合格させるのに必死なの」

「新聞で見たよ。ずいぶん大きな広告だったねぇ」

保が言うとおり、コロンブスレコードは新人歌手の募集記事を全国の新聞に掲載していた。

「ごめんください。ちょっとお伺いしたいんですけど、こちらの住所、ご存じかしら」

聞き覚えのある声がして音が振り向くと、派手な身なりの男性が恵と話していた。

「・・・御手洗せん・・・ミュージックティーチャー!?」

豊橋時代に音が声楽を教わった、御手洗清太郎(古川雄大)だった。

「音さん!ああ、よかった!今、あなたの所へ行こうとしてたのよ~」

「あの、どうして東京に・・・」

聞けば御手洗は、コロンブスレコードのオーディションを受けに来たのだという。

「今はもう“ティーチャー”じゃない。私のことは、“スター御手洗”と呼んでちょうだい」

「でも、どうして今になって・・・」

「経験不問、年齢不問、性別問わず。新聞の募集記事を見たとき、心臓が高鳴ったわ。まるで私のためのオーディションだって!私、最後のチャンスに懸けてみたいの!そこでね・・・戦略を練るためにも、裕一さんにいろいろとお話を伺いたいと思って・・・」

そこへ、裕一が久志と一緒にやって来た。

「オー、ミラクル!今ちょうどあなたの話をしてたの!」

御手洗がオーディションのために上京したと知って、裕一は驚いた。

「実は、僕の友人も、応募してきたところなんです」

目の前の相手がライバルと分かり、御手洗と久志は互いに値踏みするような視線を交わす。

「どうも、“スター御手洗”です」

「僕は“プリンス佐藤久志”と呼ばれています」

ポーズを決めて名乗り合う二人を前に、華が屈託なく言った。

「スターとプリンスって、変なの!」

この日から御手洗は、古山家に滞在することになった。

実は古山家を探していたのは、上京早々財布をすられて一文無しになり、困り果てていたからだった。

コロンブスレコードのオーディションには八百通もの応募があったが、久志と御手洗は共に書類選考を通過した。

そうなると、互いのライバル心はますます強くなり、古山家で顔を合わせると、二人とも大声で発生練習をして相手を挑発し、火花を散らした。

オーディションで選ばれるのは、一名だけと決まっている。

裕一と音は、複雑な気持ちで久志と御手洗の奮闘ぶりを見守っていた。

「ここまで来たからには、久志を応援したいけど・・・」

「私も、御手洗先生の側に立ちたいけど・・・」

「とにかく、二人が悔いのない闘いができるように、精いっぱい応援しよう」

「うん、そうだね!」

朝ドラ「エール」第13週64話のネタバレ

御手洗(古川雄大)は、オーディションに向けて連日古山家でレッスンに励み、音(二階堂ふみ)はそのサポートをした。

レッスン後、一緒にバンブーに行った際に、音が御手洗に尋ねた。

「でも、ほんと・・・よく決断されました。コーチとしてのキャリアを捨てて、オーディションを受けに来るなんて」

「実はね、三年前に母が亡くなったの・・・父も、その半年後に、後を追うようにぽっくりとね。人間なんて、いつどうなるか分からない。もう、後悔はしたくないわ」

「父も昔、よく言ってました。やらずに後悔するより、やって後悔するほうがいいって・・・」

「人生、一度きりだものね」

そのころ、久志(山崎育三郎)は、裕一(窪田正孝)、鉄男(中村蒼)と共に古山家の書斎にいた。

裕一は久志のために、ほかの候補者たちの情報や審査員である廿日市の曲の好みを調べていた。

「すごい経歴の人ばっかりみたいだよ。寅田熊次郎って人とか」

裕一が目にした履歴書には、寅田の父は「帝都ラジオ」の元代表取締役だとき書かれていた。

「はい、これ!久志がオーディションで歌う曲」

裕一は、楽譜に歌い方の指示を書き込んだものを手渡した。

「何これ。指示が細かいよ!流行歌ってのは、パッションで歌うもんだろう?」

「この曲は、音域が広いから難しいんだ。研究しておいで損はないよ」

コロンブスレコード専属新人歌手オーディションの歌唱審査の日がやって来た。

書類選考通過者たちは、会社の録音室で審査員を前に歌を披露していく。

裕一も、藤丸と共に審査員たちの後ろに座り、おのおのの歌を聴いた。

寅田熊次郎は『東京ラプソディ』を歌った。

容姿端麗な熊次郎が歌う姿を、藤丸はうっとりと見つめていた。

「かっこいい・・・」

久志はとびきり派手なシャツを着て現れ、木枯(野田洋次郎)が作曲した『丘を越えて』を歌った。

軽快な久志の歌声に合わせて、廿日市(古田新太)が自然とリズムを取っているのを裕一は見逃さなかった。

御手洗も、久志に負けず劣らずのきらびやかな衣装を着込み、『船頭可愛や』を歌い上げた。

ドイツ仕込みの本格的な歌声に、裕一は感服した。

ほかにも個性が際立っている者やプロ顔負けの歌唱力を持つ者がそろっており、裕一も藤丸も驚きの連続だった。

無事に審査を終えた久志が、裕一、藤丸と共にバンブーに行くと、鉄男が待っていた。

「どうだったんだよ!?」

「どうもこうも、僕で決まりだろ。楽勝さ」

言いながら久志がジャケットを脱ぐと、ポケットから小さく折り畳まれた紙が落ちた。

鉄男が広げてみると、裕一が渡した楽譜だった。

「余裕ぶって、お前、めちゃくちゃ研究してんじゃねえが」

楽譜には、久志の字でびっしりと書き込みがされていた。

「勝手に見るなよ!」

そこに、音と華、そして御手洗がやって来た。

一同でテーブルを囲みコーヒーを飲むうちに、御手洗が口を開いた。

「恐らく審査員の票は、スター御手洗かプリンス久志かで割れるでしょうね」

「最終的には、僕が選ばれるだろうけど」

また火花を散らし始めた二人を前に、裕一がつぶやく。

「どうかな・・・。ほかもなかなかの強者ぞろいだったからさ・・・」

それでも、久志と御手洗は強気な態度を崩さない。

「僕がコロンブスと契約したら、ボイストレーナーとして雇ってあげてもいいですよ」

「私が受かったら、かばん持ち、させてあげるわ」

すると、プリンを頬張っていた華の口から、容赦ない言葉が飛び出した。

「二人ともだめかもよ?」

久志と御手洗はギョッとし、音は慌てて華の口を押えた。

その晩、久志は鉄男のおでん屋に行き、二人で酒を飲んだ。

「珍しな、お前がそだ飲み方するなんて」

鉄男にそう言われるほど、久志は落ち着かない様子で飲み続けた。

「前祝いさ・・・」

「発表、明日が・・・ドキドキすんなぁ、おい」

審査結果は、翌日の新聞で大々的に発表される。

「人事を尽くして天命を待つ!・・・お代わり」

「大丈夫が?」

心配しながら鉄男が注いだ酒を久志は一気にあおり、そのまま後ろにひっくり返ってしまった。

「久志!」

よほど緊張していたのだろう。

酔いつぶれた久志を、鉄男は優しく抱き起してやった。

朝ドラ「エール」第13週65話のネタバレ

翌朝、裕一(窪田正孝)と音(二階堂ふみ)は新聞が届くのが待ちきれず、家の表で配達を待った。

「来た!」

配達員を見つけた音が叫び、裕一は新聞を受け取ると、その場で開いた。

紙面には、こう書かれていた。

『コロンブスレコード専属新人歌手募集の合格者は、東京出身の寅田熊次郎さん十八歳に決定』

結果を知った御手洗(古川雄大)と久志(山崎育三郎)は、連れ立ってコロンブスレコードに乗り込んだ。

「納得いきませんわ!私より、どうしてあんなのが・・・」

「どういうことか説明してもらえますか!?」

サロンで杉山を相手に抗議をしていると、奥の席で廿日市(古田新太)が、熊次郎と契約を交わしているのが見えた。

「おかげさまで、うちの父も喜んでますよ」

「はいはい、帝都ラジオの会長!そりゃ結構」

そんなやり取りを見て、御手洗は改めて杉山に詰め寄った。

「もう一度、考え直していただけませんか!?」

「決定を覆すことはできません。お引き取りください。警備員、呼びますよ!」

しかたなく二人はその場を離れたが、御手洗はまだ引き下がる気はなかった。

「これしきで、諦めないわよ。社長はどこ!?」

そこに、熊次郎が現れた。

「負け犬がキャンキャンと。見苦しいんだよ、おっさんら」

そして熊次郎は、御手洗に向かってこう吐き捨てた。

「特にあんた。本気で受かると思ってたの?自分の姿、鏡で見てみなよ」

御手洗は思わず絶句したが、久志は黙っていなかった。

「君、誰に向かって口きいてんだ?言っとくが、彼の実力は君の数百倍、いや数千倍はある。人の痛みが理解できないやつに、歌を歌う資格があるのか!?」

御手洗が止めようとしても、久志の怒りは収まらなかった。

「みんな、自分の可能性に懸けて必死に努力してきたんだ。ちょっと頭がいいからって偉そうに・・・」

久志の言葉はそこで遮られた。

熊次郎が、久志の顔に向かって思い切り頭突きをしたのだ。

鼻を押さえて久志は崩れ落ち、熊次郎は平然と去っていった。

そこに、裕一が駆けてきた。

「ど、どうしたんだよ、二人とも・・・大丈夫!?」

御手洗と一緒に久志を抱き起していると、今度は廿日市が近づいてきた。

「おい、君、ちょっと残って」

廿日市は、久志に向かってそう言った。

「研究生として、契約してやっから。デモ用の仮歌を歌ったり、新人のかばん持ちをしたり。うまくいけば、デビューもできる」

その後、久志はバンブーで藤丸にけがの手当てをしてもらい、その間に裕一が、熊次郎との一件を皆に話して聞かせた。

聞き終えると鉄男は、うれしそうに久志に笑いかけた。

「お前は逃げながったんだな。昔なら、いの一番に逃げてだのにね。正直、見直したよ」

「その研究生のお話、どうするの?」

藤丸に尋ねられて、久志が答える。

「・・・断る」

「だめよ!断っちゃだめ!」

叫んだのは御手洗だ。

「こんな機会めったにないのよ!?お金を頂きながら歌の勉強ができるなんて!」

「あんなやつのかばん持ちなんかしたくないよ」

「あなたなら、きっとすぐに追い越せるわ!あなたは選ばれたの。選ばれた以上、輝かなきゃ!」

黙り込んでいる久志を、皆が祈る思いで見つめた。

やがて久志は、御手洗の目を見つめて言った。

「・・・あんたに勝てて、よかったよ。正直・・・危ないと思った」

「・・・ありがとう」

そう答える御手洗の瞳に、光るものがあった。

「・・・必ず、デビューするから」

「・・・約束よ!プリンス久志」

全力で闘った二人は、固い握手を交わした。

その晩、久志は、再び流しの歌手として夜の町を渡り歩いた。

ギターの伴奏は鉄男、集金係は裕一というところまでは前と同じだが、この日は御手洗も仲間に加わり、久志と一緒に歌って歩いた。

そうして稼いだ金を、久志は、豊橋に帰っていく御手洗への餞別にした。

後日、廿日市はコロンブスレコードの社員たちに、熊次郎と久志を紹介した。

「帝央大学一年、寅田熊次郎です。父は帝都ラジオの会長を務めております。どうぞ、よろしくお願いします!」

爽やかに熊次郎が挨拶すると、社員たちから大きな拍手が起こった。

次は、研究生の久志の番だ。

「佐藤久志です。帝国音楽学校声楽科を首席で卒業いたしました。こちらでお世話になりますからには、必ずや皆さんに、新しい景色をご覧いただけるよう、精進いたします!」

言い終えると久志は、熊次郎のほうに決意の籠もった視線を向けた。

紹介が済んだあと、廿日市と熊次郎は立ち話をし、久志は二人の近くで耳をそばだてていた。

「君のデビュー曲だけど、今、古山君が書いてるから。あがったら即レコーディングね」

「古山?誰ですか」

「古山裕一だよ。『船頭可愛や』の」

「いや、知らないけど。別に、何でもいいですよ。有名な人の曲なら」

先ほどまでの好青年ぶりとは打って変わった生意気な態度だった。

「じゃあ、次会うときまで、うちの作曲家の名前と曲名、全部言えるように勉強しといてね」

「そんな必要あります?」

不満げに熊次郎が答えるやいなや、廿日市の態度が豹変した。

「・・・お前さ、あんまなめてると痛い目遭うぞ」

廿日市は熊次郎の首を抱え込んですごんでいる。

「言っとくが俺は、お前はまだ一ミリも認めちゃいない。上が気に入ったのは、お前の歌より看板だ。努力もせず、売れなかったら即契約解消。覚えとけ!」

廿日市に放り出されて尻餅をつくと、熊次郎はおびえた顔でそそくさと逃げていった。

それを見送ってから、久志は廿日市に話しかけた。

「研究生の件、廿日市さんが上に掛け合ってくれたそうですね。・・・ありがとうございました」

「・・・あのガキだけじゃもたないと思っただけだ。いちばんうまかったのは、テイコクに声かけられて辞退しやがるし。やってらんねえよ!」

そう吐き捨てたあと、廿日市は久志の服装を眺めた。

今日は、真っ白なスーツに派手なシャツといういでたちだ。

「もうスター気取りか」

「必ずそうなりますから」

堂々と答えてから一礼し、久志は立ち去った。

その足で古山家に行った久志は、居間に上がり込んだ裕一に尋ねた。

「今度の新曲は!?」

「ああ、これ?」

書き上がったばかりの譜面を音が見ているところだった。

久志は音から譜面を奪って目を通し、きっぱりと言った。

「だめだ。こんなの」

「どうして!すっごくいい曲じゃない!」

怒る音に、久志が言い返す。

「だからだめなの!この曲は僕がもらう。これじゃあ、あいつが売れちまうだろ」

「明日納品なんだよ」

楽譜を取り返そうとする裕一と、久志がもみ合っていると、玄関から大きな声がした。

「ごめんください!こちら、古山先生のお宅でしょうか?」

音と裕一が出てみると、古びた着物姿で風呂敷包みを背負った青年が立っていた。

「古山先生でいらっしゃいますか」

「そうですけど・・・」

すると青年は、深々と頭を下げた。

「僕を、弟子にしてくれねぇでしょうか!」

 
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