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朝ドラ「エール」第11週のあらすじ・ネタバレを紹介していきたいと思います。
「エール」の第11週では、裕一(窪田正孝)は恩師の藤堂先生(森山直太朗)に依頼され、福島の小学校の校歌を作曲することになります。
そこで久しぶりに家族と再会するのだが・・・。
それでは第11週はどうなるのか、ネタバレしていきたいと思います。
そこで、自分が作曲家だと頑張ってきた時に、故郷の家族はいったい何をしていたのか、どのように時が流れていたのか!
この第11週は必見です!
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朝ドラ「エール」第11週のあらすじネタバレ「家族のうた」
恩師の藤堂先生(森山直太朗)に依頼され、福島の小学校の校歌を作曲することになった裕一(窪田正孝)。
完成披露会をきっかけに音(二階堂ふみ)を連れて福島に帰ってくる。
故郷を飛び出したきりだった裕一のために、父・三郎(唐沢寿明)、と母・まさ(菊池桃子)は懐かしい仲間を呼んで歓待する。
しかし弟の浩二(佐久本宝)だけは裕一に冷たく、いらだっているのだった。
そんな中、音は三郎のある異変に気づき・・・。
朝ドラ「エール」第11週51話のネタバレ
藤堂先生や母・まさからの手紙を受け取り、福島に帰るべきか迷う裕一。
鉄男、木枯、藤丸、そして音の言葉が胸に響き、故郷に帰る決意をしました。#朝ドラエール#窪田正孝#二階堂ふみ#中村蒼#野田洋次郎#井上希美 pic.twitter.com/DQ1wcTkA79
— 連続テレビ小説「エール」 (@asadora_nhk) June 8, 2020
裕一(窪田正孝)と音(二階堂ふみ)は、娘を「華(はな)」と名付けた。
昭和八(1933)年一月、華が生まれて四ヵ月がたった。
音は家事と育児に追われ、裕一はと言えば仕事より愛娘に夢中で、音をあきれさせていた。
ある日、仕事そっちのけで華と遊んでいる裕一に、音が言った。
「華のことは私に任せて、仕事して。そろそろ締め切りでしょ」
「大丈夫、大丈夫。頭ん中では出来上がってっから」
「廿日市(古田新太)さんにせっつかれても知らんよ」
華と離れたくない裕一は居間で仕事をしようとするが、音に五線紙を手渡され、バンブーに行かされる。
ところがバンブーに行っても、裕一は恵(仲里依紗)を相手に華のかわいらしさを熱く語ってばかりいた。
「うちの華ちゃんはね、目は音で、鼻は僕似なんだ。あど口元も!」
「華が生まれたばっかしの頃は、高い『ラ』の音程で泣いてだんだ。これがもうかわいくて・・・」
そこに保(野間口徹)が、裕一に紹介しようと年配の常連客を連れてきた。
「お会いできて光栄です。『船頭可愛や』、毎日聴いてます。今も作曲中でしたか」
「ええ、まあ・・・」
「すごいですね、こんなところで作曲できるなんて」
「実は娘が生まれましてね、その娘どいうのが、まぁかわいくて・・・目は妻似なんですが、鼻と口元は僕にそっくりでして」
「ご両親もさぞお喜びでしょうなぁ。私も近頃孫が生まれまして、まあ、かわいくてかわいくて」
すると、保が口をはさんできた。
「裕一君、まだ一度もご両親にお孫さん会わせてないんですよ」
「それはいけません、早く会わせてあげないと!あっという間に大人になっちゃうんですから」
「はあ・・・」
裕一が帰宅すると、藤堂(森山直太朗)から手紙が届いていた。
何事かと驚いて封を開けると、福島の小学校の校歌を作曲してほしいという依頼だった。
『福島に君が作った校歌をたくさん残したい。古山君が福島の地から羽ばたいたときから、ずっと思い描いていた夢なのです!』
「故郷の校歌を作れるなんて、すてきなお話しじゃん」
音はそう言うが、裕一は戸惑っていた。
「でも、僕は、福島捨てたんだよ」
「うん。でも、裕一さんだからこそ作れる曲があると思う。それに、大恩人の藤堂先生からの依頼を断ったりしたら、罰が当たるわ!」
「そ、そだね」
音に背中を押され、裕一は徹夜で校歌を書き上げた。
譜面を送ってから数日後には、藤堂から返事が来た。
『裕一君、大変すばらしい曲を作っていただき、ありがとうございました。つきましては、関係者各位を招待し、校歌完成披露会を開催したいと思っております。奥さんや娘さんも一緒に、ぜひご参加ください』
読み終えた裕一が、音に尋ねた。
「こ、これって、福島に帰ってこいってごどだよね」
「たぶん・・・」
この日届いた郵便の中には、まさ(菊池桃子)からの手紙もあった。
『裕一へ。ご無沙汰しております。皆さん、お変わりありませんか?さて、藤堂先生から、裕一が小学校の校歌を作曲したと聞きました。お仕事も順調のようで、家族一同、裕一のことを誇らしく思っております。どうぞこの機会に、ぜひ三人で福島に来てはいかがですか』
母の優しい言葉を読んでも、裕一は決心がつかなかった。
福島を、そして家族を捨ててきた自分に帰る資格があるのかと、どうしても心が揺らいでしまう。
深夜まで考え込んでいると、音がやって来た。
「ねえ、やっぱり福島に行ってみん?華に、おじいちゃん、おばあちゃんを会わせてやりたいの。きっと、お義父さん、お義母さんも喜んでくれるわ」
「・・・ごめん、もう少し考えさせで」
そんなある日、鉄男(中村蒼)のおでん屋で裕一が藤丸と飲んでいると、木枯(野田洋次郎)がやって来た。
「木枯君は、福岡には帰ることあんの?」
「前にも話しただろ、家を捨ててきた。でも、時々、無性に母ちゃんのこと思い出すんだよね~。」
「夜中にさ、突然、母ちゃんが作ってくれた芋の煮っころがし食べたくなったりして」
すると鉄男も、亡くなった母のことを語りだした。
「俺も、時々、母親のごど夢に見るよ。ひどい父親だったげど、母親は本当に優しぐしてくれだ」
おのおのが故郷を思い、沈黙が流れた。
「どした?福島帰んのが?」
鉄男に尋ねられたが、裕一は首を横に振った。
その晩、裕一は、音と華が遊ぶ姿を写真に収めた。
二人の笑顔を見つめるうちに、裕一は身にしみて感じた。
「何かさ、僕たぢも親になったんだね」
「どうしたの?急に?」
「福島のことなんだげど・・・やっぱり、このままってわけにはいかないと思うんだ。」
「華が大きくなったときに、お父さんの故郷は福島なんだぞって、胸張って言いだいなって。」
「音はどう思う?」
「私はほら、早くにお父さん亡くなっとるでしょ?お父さんに恩返ししたかった。」
「裕一さんがお義父さん、お義母さんに孝行できるようになるといいなって」
「・・・うん。・・・帰ろ」
「うん!」
朝ドラ「エール」第11週52話のネタバレ
裕一が作曲した校歌のお披露目会が開かれました✨
藤堂先生は教え子の活躍に、感慨深いものがあります😌#朝ドラエール#窪田正孝#二階堂ふみ#森山直太朗 pic.twitter.com/J9Noyso9pl— 連続テレビ小説「エール」 (@asadora_nhk) June 8, 2020
ようやく決心をした裕一(窪田正孝)は、音(二階堂ふみ)と華を連れて福島へ向かった。
到着するとすぐ、校歌の完成披露会に出席し、大歓迎を受けた。
藤堂(森山直太朗)や、校長、教頭、地元の名士らと共に子供たちが歌う校歌を聴き、裕一は感激する。
披露会後の宴席で、藤堂は改めて子供たちは裕一を紹介した。
「彼の小学校時代は地味でおっちょこちょいで、勉強も運動も苦手な・・・地味な子でした。そんな古山君が変わったのは、音楽と出会ってからです。」
「商業学校ではハーモニカ倶楽部の活動にのめり込み、二十一歳にして国際的な作曲コンクールで二等を受賞。」
「今や皆さんがいつも口ずさんでいる、『船頭可愛や』を生み出す程の作曲家になられました。古山君、君からもひと言」
「い、今ご紹介にあったように、僕は学校があんまり、す、好きではありませんでした。」
「ほんと地味で・・・自分の得意なものが何かわがらない子でした。でもっ、先生が僕に教えてくれだんです。」
「人よりほんの少し努力すんのがつらくなくて、ほんの少し簡単にできるこど、それがお前の得意なものだって。」
「そのとぎのごどや、故郷の風景を思い出しながら作曲しました。」
「この校歌が、皆さんの大切な故郷の思い出となるごどを心から願ってます」
沸き起こる拍手の中、裕一は藤堂と笑みを交わし合った。
披露会が終わり、会場となった旅館を後にしようとすると、藤堂が裕一たちを見送ってくれた。
「そう言えば、村野(中村蒼)は元気か?『福島行進曲』、あれはいい詞だった。今も書いてるのか?」
「ええ。でも、それだげで食べていくのは、なかなか・・・」
「佐藤(山崎育三郎)も東京に行っていると聞いたけど、会ったかい?」
「はい。実は久志、音と同じ音楽学校で声楽を学んでだんです」
そんな話をしているところに、おなかの大きな女性がやって来た。
「紹介するよ。僕の妻の・・・」
名前を聞くより先に女性の顔を見て、裕一は仰天する。
目の前にいるのは、川俣銀行時代に世話になった昌子だった。
なんと藤堂先生は、川俣銀行の昌子さんと結婚していました😳✨
もうすぐ赤ちゃんも生まれるみたいです🥰#朝ドラエール#森山直太朗#堀内敬子 pic.twitter.com/rSLJA3VIzN— 連続テレビ小説「エール」 (@asadora_nhk) June 9, 2020
「やっほー!裕一君、お帰んなさい!」
裕一が福島を離れたあと、藤堂と昌子は結婚していた。
昌子にとっては四度目の結婚で、来月には子供も生まれるのだという。
見るからに幸せそうな昌子が、裕一に尋ねた。
「この後、ご予定は」
「これがら実家に顔出そうど思って」
「ご両親に孫の顔見せで、安心させであげでね」
しかし、いざ喜多一の前まで行くと、裕一は緊張のあまり敷居をまたげなかった。
そんな裕一の背中を、音がバンとたたく。
「大丈夫!みんな待っとってくれとるって」
「音が先入ってよ」
「ここまで来て、何言っとんの」
そんなことを言い合ううちに、華が泣きだしてしまった。
「あらら、よしよし」
音があやしていると、店の扉が開き、まさ(菊池桃子)が出てきた。
「母さん!」
「赤ちゃんの泣ぎ声が聞こえだがら、もしかしてど思って・・・お披露目会はうまぐいったの!?」
「お、おがげさまで、いい会だったよ」
まさは、音に抱かれている華を見て、顔をほころばせた。
「まぁ、なんつぅかわいらし・・・。初めまして、華ちゃん。会いだがったわ~」
抱きたくてたまらない様子のまさに、音は華を預けた。
「はぁっ・・・いい匂い。おーよしよし、どしたの、おしめがな、おなかすいだがな~」
そこは、三郎(唐沢寿明)も現れた。
「おい、まさ!誰が来たのが?」
裕一たちを見て、三郎は目を丸くしている。
驚かせようと、まさは裕一が校歌を作ったことも、お披露目会に招待されたことも話していなかったのだ。
「お父さん、見で!華ちゃん。私たぢの初孫!」
「かぜひいだらいげねえ。んなどご突っ立ってねぇで入れ、入れ!」
ようやく緊張が解けた裕一は、店の中に入った。
福島の古山家にて記念にパチリ📷✨
初孫を喜ぶ三郎とまさです😄#朝ドラエール#窪田正孝#二階堂ふみ#唐沢寿明#菊池桃子#2月中旬に撮影 pic.twitter.com/8gXcdVHljb— 連続テレビ小説「エール」 (@asadora_nhk) June 9, 2020
ところが、商品も人の気配もなく、静まり返っている。
「いろいろあってね。浩二(佐々木宝)に負担かげるばっかりだったがら。去年の暮れに、お店、閉めるごどに・・・」
「・・・それって、僕の・・・」
動揺する裕一の言葉を、三郎が遮った。
「お前には関係ねえ」
裕一たちは居間に上がり、まさから浩二の近況を聞いた。
「役場で働いでる。農業推進係っていうどごでね、毎日朝がら晩まで働いでる」
「・・・生活、大丈夫なの」
「まぁ、何とがね」
心配顔の裕一に、まさは湯飲みを見せて笑った。
「これ見で。おもしろい形でしょ!兄さんがね、趣味で土いじり始めだらしくって。」
「次がら次へど送ってくんのよ~。いつかお茶会やんのが夢なんだって!才能あっと思ってんだがら」
すると三郎が鼻を鳴らした。
「下手の横好きだよ」
夜には、かつて店だった部屋に大勢の客が集まり、宴会が開かれた。
福島のみなさんで大宴会🍣🍶✨
裕一の商業学校時代の同級生・史郎や、川俣銀行でお世話になった落合と鈴木と松坂の姿も♪
オフショットには浩二も参加😊#朝ドラエール#窪田正孝 #二階堂ふみ#唐沢寿明 #菊池桃子#佐久本宝 #菅原大吉#相島一之 #松尾諭#望月歩 #大津尋葵#2月中旬に撮影 pic.twitter.com/XTOSDX8xnU— 連続テレビ小説「エール」 (@asadora_nhk) June 9, 2020
裕一の凱旋祝いだと言って、三郎が皆を招いたのだ。
裕一の銀行時代の仲間やハーモニカ倶楽部で一緒だった楠田、喜多一で働いていた面々も集まって大いに盛り上がった。
皆と話すうちに、裕一は、川俣銀行が人手に渡ったと知った。
かつての行員たちは今、信用組合に勤めているのだという。
驚く裕一に、元支店長の落合が明るい調子で言った。
「別に心配するごどじゃね。頭取の紹介で、行員だぢもみんな新しい職場で頑張ってるしよ」
それでも裕一は、責任を感じずにはいられなかった。
自分が茂兵衛の後を継いでいれば、こうはならなかったはずだ。
朝ドラ「エール」第11週53話のネタバレ
家を出ていく浩二を追いかける裕一。
何もわかっていない兄に憤りを感じた浩二は、裕一に三郎の体の具合について話します。#朝ドラエール#窪田正孝#佐久本宝 pic.twitter.com/S327O90Ivg
— 連続テレビ小説「エール」 (@asadora_nhk) June 10, 2020
三郎(唐沢寿明)はといえば、上機嫌で客たちと話をしていた。
「裕一はよ、俺の才能を受げ継いだんだ。こう見えでも俺だって昔は、歌手が役者にって言われだごどもあったんだ」
そこに、仕事を終えた浩二(佐々木宝)が帰ってきた。
三郎はうれしそうに浩二に呼びかける。
「おう、こっち来ぉ!みんな集まってっぞ」
「何だよ、これ・・・」
裕一(窪田正孝)と音(二階堂ふみ)を無視して、浩二は三郎を叱り飛ばした。
「父さん・・・まだ酒飲んだのが!」
「いいじゃねえが。今夜は裕一のお祝いだ」
浩二は裕一にとがった目を向けてきた。
「よぐヘラヘラど帰ってこれだな」
「そ、それは・・・」
口ごもる裕一に代わって、音が事情を話した。
「裕一さん、福島市内の小学校の校歌を作曲したんです。そのお披露目会にご招待してくださって。裕一さん、故郷に恩返しがしたいって・・・」
「恩返し・・・?それだったらまず、親兄弟にするべぎなんじゃねえの。たった一曲売れだぐらいで、大作曲家気どりがよ。」
「・・・明日も早ぇがらもう寝る。父さんも明日、診察だろ。叱られでも知らねえがらな!」
言い捨てて浩二は奥へ向かった。
宴会のあと、音は、後片付けをするまさ(菊池桃子)を手伝おうと台所に向かった。
音は母になったことで、裕一を心配するまさの気持ちが痛いほど分かるようになりました。
一方でまさは、裕一を成功に導いてくれた音へ感謝を伝え、長い時を経て無事に和解しました。#朝ドラエール#二階堂ふみ#菊池桃子 pic.twitter.com/o1lITl7NJu
— 連続テレビ小説「エール」 (@asadora_nhk) June 9, 2020
「いいわよ。華ちゃん見てないど」
「もう寝ましたから」
「いっつもと寝床が違あがら、夜泣きしなきゃいいげど・・・」
「華はよく寝る子なんです」
「裕一もそうだったわ。でも、浩二は、よぐ夜泣きする子でね」
まさと音は並んで洗い物をしながら話を続けた。
「その後は、裕一のほうが大変だったのよ。言葉がうまぐしゃべれないせいで、いじめられでね。」
「浩二は何でもすぐ覚える賢い子だったげど、ながなが人に分がってもらえないどごもあって」
「親って、そんなふうにずーっと子どものことを心配するもんなんですね」
「親はいづまでたっても親。きっと心配のしっぱなしよ」
「私・・・華を産んで、お義母さんがどれほど裕一さんのこと思っとったか、分かった気がします」
まさは、上京前の裕一が音楽家を目指すことに反対し、身の丈にあった幸せをつかんでほしいと言っていた。
「あなたは正しがったのよ。裕一の身の丈は、世界にとどろぐ音楽家だって言ってくれだわよね。」
「そりゃ最初は、無責任なごどをって腹が立ったげど・・・今じゃ感謝してる」
「私のほうこそ感謝してます。お義母さんがお手紙をくださったから、裕一さんも私も、福島に帰ってこられました」
まさは音のほうに向き直り、しっかりと手を握った。
「どうがこれがらも、裕一を支えでやってね」
「はい・・・。そうだ・・・ちょっと気になっとったんですけど、お義父さん、どっか悪いんじゃないですか?」
音は宴会の合間に、台所で胃が痛そうにしている三郎を見かけていた。
「ちょ、ちょっとお医者にかがってるだげよ。実は、胃潰瘍でね。心配しないで」
そう言われても心配で、音は、まさから聞いた話を裕一にも伝えた。
「ねぇ・・・もうしばらくここにいさせてもらえんかな?次いつ来られるか分からんでしょ?」
「お義父さん、お義母さんのことも気になるし、浩二さんとも、まだ全然話せとらんじゃん」
「浩二とは、昔っからずっとあんな感じなんだ。僕が自分の夢ばっかり追いかけて、家族のことは二の次、三の次にしてきたがら・・・」
裕一の部屋には、子どもの頃、浩二に土産として渡したスノードームが飾ってある。
それを見ながら裕一は、上京前に浩二からぶつけられた言葉を思い返した。
「兄さん出てったら、この家どうなっか分かってんだろ?」
やはり、このまま東京に戻るわけにはいかない。
「音がそう言ってくれんなら、あと二、三日ゆっくりしよ」
翌朝、裕一は、食事の支度をするまさに、金の入った封筒を渡そうとした。
「しばらくここにいっから、これ食費に使って」
そこに、出勤の支度を終えた浩二がやって来る。
「母さん、そんなもの、受け取んなくていいがらね」
言い捨てて玄関に向かう浩二の後を、裕一は追いかけた。
「僕と音の滞在費だよ。余ったら、父さんだぢにうまい酒でも飲ませてやって」
「何がうまい酒だよ・・・」
「浩二、父さん、何があったのが?」
「関係ねえだろ」
「待って!頼む、教えでくれ」
二人で表に出ると、浩二が裕一に小声で言った。
「・・・父さん、もう長ぐねぇんだ。胃がんだって、もう手の施しようが・・・」
「う、う、嘘でしょ・・・だって、あんなに元気・・・」
「父さんの前でそんな顔絶対すんなよ。・・・俺だって、父さんの体気遣いながら必死に隠してきたんだ。」
「ばれだら・・・ただじゃおかねえがらな!」
朝ドラ「エール」第11週54話のネタバレ
裕一がいなくなってからずっと家のことや三郎の病気のことをたくさん考えてきた浩二。
兄へのいらだちが抑えきれませんでした。#朝ドラエール#窪田正孝#菊池桃子#佐久本宝 pic.twitter.com/ccjyq4h6JB— 連続テレビ小説「エール」 (@asadora_nhk) June 10, 2020
この日は、医師が三郎(唐沢寿明)の往診にやって来た。
きつく止められているにもかかわらず酒を飲んだ三郎は、胃の痛みに苦しみ、寝室で横になっていた。
「絶対安静、お酒は厳禁!いいですね!」
三郎に厳しく言い渡した後、医師は居間に移動して小声でまさ(菊池桃子)に伝えた。
「とにかぐ今は、なるべぐ体力を温存して、無理はさせないようにしてください。食事も消化のいいものを」
そばで聞いていた裕一(窪田正孝)と音(二階堂ふみ)は、手術や入院治療はできないのかと尋ねたが、医師は手の施しようがないと答えた。
「立って歩いでんのが不思議なぐらいなんです。気だげでもってるようなもんですから、覚悟しておいでください」
裕一が寝室に戻ると、三郎は笑顔を見せた。
「どした。シケだ面して」
「もともとこういう顔だよ。暇だろど思ってさ。何か食べたいもんとがない?」
「・・・ハーモニカ。久々に聴ぎでぇな。お前が商業学校時代に作った曲、ながながよがった」
「ごめん、持ってきてないんだ」
「大作曲家はハーモニカなくても作曲でぎっからなあ」
「そんなんじゃねぇって」
話し疲れたのか、三郎は目を閉じて眠りに就いた。
裕一は、その寝顔をそばで見守り続けた。
まさは、居間で音と二人きりになると、苦しい胸の内を明かした。
「昼間はいっつも、お父さんど二人きりだがら我慢してきたげど・・・怖いの。いづ、お父さんがど思うど、すごぐ怖い・・・」
言葉にしたとたんに、まさは涙をこらえられなくなった。
「私が川俣のごどで苦労かけたがらがな・・・どしてもっと早ぐ気づいてあげられながったのがな・・・おんなじごどばっかし、頭の中でぐるぐるしてんの」
音はまさの隣に行き、そっと背中をさすった。
「・・・誰のせいでもありません」
裕一は、父のためにできることはないのかと懸命に考えた。
「東京の大っきな病院に連れてくとがさ。こんな田舎の医者じゃなくて、腕のいい先生に診てもらえば手術だってできっかもしれないだろ?」
音にそう話してみたが、返事はない。
「大体、浩二も母さんも水くさいよ。もっと早く僕に相談してくれればよがったのに」
「・・・お義母さん、泣いとったの。お義父さんの前では、一所懸命普通にふるまっとるけど、ずっとつらかったんだと思う」
自分には母を責める資格などない。
そう思い知らされ、裕一は言葉をなくした。
その日の夕方、裕一は改めてまさに金を手渡した。
「でも・・・あなただぢもこれがら大変でしょう。華ちゃんだっているし・・・」
気を遣うまさに、音がにこやかに答える。
「私たちの滞在費ですから、お気にせずに」
「・・・申し訳ないわね・・・じゃ、ありがたく頂ぎます」
ちょうどそこに浩二(佐々木宝)が帰ってきた。
「・・・まだ、母さんにすり寄ってんのがよ。こんなもの、要らないって言っただろ」
でも、でもさ、やっぱいろいろ大変だろし。父さんのことも、僕が何とがするよ。金の心配は要らねえがら」
「・・・兄さんの手助けは要らない」
「水くさいこど言うなって!そりゃ、僕に頼りたくないのは分がるよ。で、でも今は、家族一丸となって助け合わなきゃ。このまま放っといだら、父さん・・・」
言い終えないうちに、浩二が裕一につかみかかった。
「兄さんは何もわがっちゃいないんだよ!僕らだって、何もしてこながったわげじゃねぇ。」
「金工面して・・・福島でいぢばんの先生に検査してもらって・・・それでもだめだったんだ!」
「・・・いっつも自分の気持ぢだげで動ぎやがって。兄さんなんか、とっくに家族じゃねえんだよ!」
力任せに浩二に突き飛ばされ、裕一は倒れ込んだ。
そこへ、寝室で休んでいた三郎が現れた。
「騒がしなぁ、おい。目ぇ覚めっちまったよ」
「いいがら横になってろよ」
そう言う浩二を無視して、三郎は裕一に声をかける。
「飲みに行ぐぞ」
三郎に腕を取られて裕一が困惑していると、浩二が叫んだ。
「医者に止められでんだろっ」
「大事な話があんだよ!」
強引に裕一の腕を引いて、三郎は出ていった。
三郎と裕一が向かった先は、居酒屋ではなく神社だった。
境内に並んで座ると、三郎は改まった調子で話し出した。
「裕一・・・俺はもうだめだ。みんな必死にごまがしてっけど、それぐれえわがる」
「な、何の話?」
裕一は無理に笑顔を作って話をそらそうとしたが、むだだった。
「その顔・・・お前、ちっとも変ってねぇな」
そして、三郎は裕一を見据えた。
「お前に、承諾してもらいでぇごどがあんだ」
翌日、三郎は床に伏し、裕一は、音に頼んでハーモニカを買ってきてもらった。
「これでよかった?」
「ああ、大丈夫。ありがと。これで、父さんに聴かせであげられる」
二人で寝室に向かうと、三郎は吐血し、もだえ苦しんでいた。
「父さん!」
朝ドラ「エール」第11週55話のネタバレ
浩二の中でずっと胸につかえていた苦しい気持ちは、三郎の本当の思いを知ることでとかされていきました。#朝ドラエール#唐沢寿明#佐久本宝 pic.twitter.com/VSTQfTxTs8
— 連続テレビ小説「エール」 (@asadora_nhk) June 11, 2020
そのころ浩二(佐々木宝)は、役場の会議室で、農業推進係の係長に仕事の成果を報告していた。
「畠山さんが、りんご栽培、協力してくれるそうです!」
「そうが!よがったな」
浩二はこのところ、養蚕農家にりんご栽培への切り替えを勧める仕事を任されていた。
養蚕業の先行きは暗く、廃業に追い込まれた農家も多い。
専門家によると、福島の気候はりんご栽培に適しており、甘く栄養価の高いりんごが収穫できるはずだという。
それならばということで、役場は市からの援助を条件にりんご栽培を勧めていただが、養蚕農家からの反発は激しかった。
ところが、浩二の熱心な説得の結果、代々養蚕業を営んできた畠山家がりんご栽培を始めると決断してくれたのだ。
浩二の報告を受けて係長が言う。
「親父さんにも報告してやれ。きっと喜ぶ」
「・・・父は関係ありませんがら」
「部長がら聞いでねえのが?三ヶ月ぐれえ前がなぁ。突然、君の親父さん、挨拶に来たんだってよ。」
「息子の言うごど聞いでりゃ店を潰すごどはながった。必ず役に立つ男ですから、よろしぐお願いしますって」
驚く浩二の元に、事務員がやって来た。
「古山さん、ご自宅がらお電話が・・・」
電話を受けた浩二が慌てて帰宅すると、三郎(唐沢寿明)は、医師に処方された薬で眠っていた。
「医者は何て!」
「・・・このまま逝ってもおがしくないって」
答えるまさ(菊池桃子)の瞳がぬれている。
「無理ばっかしやがって・・・こんなごどなら病気のごど、ちゃんと話しとげばよがった」
すると、裕一(窪田正孝)が深く息を吐いた。
「・・・父さん、知ってだよ。自分がもう長くないごど」
裕一が三郎の袖をめくると、赤黒いあざが出来ていた。
「発作のたびに、かんで我慢してたんだ・・・」
「・・・ばがだ、父さん。だったら文句の一っつぐらい言えよ!俺をだます気だったのがって怒れよ!何かっこつけでんだよ!」
浩二が肩をつかんで叫んでも、三郎は目を覚まさなかった。
裕一たちはその後、家族で交代しながら三郎に付き添い続けた。
三日目、裕一は眠り続ける三郎に自然と語りかけていた。
「父親になってやっとわがったよ・・・父さんに、どんだげ心配かげできたが。まだ全然恩返しでぎでないんだ。だから・・・」
あふれそうになる涙を拭っていると、唐突に三郎が返事をした。
「だがら、何だ?」
「うわぁっ・・・。おおい!父さんが目ぇ覚ました!」
すぐに家族が集まってきた。
だが三郎が、浩二と二人にしてほしいと言いだしたため、裕一は、まさと音(二階堂ふみ)を促して寝室を出た。
「浩二・・・お前にはさんざん迷惑かげで、悪がったな。俺ど母さんが、でがい面して表歩げんのは、お前が働いでくれでっからだ。」
「店継いでくれだどぎは、腹の底がらうれしがった・・・」
「ほんとは、兄さんのほうがよがっただろ。俺・・・二人が音楽の話すんの、ずっと嫌だった。全然話題に入れねぇしさ」
「音楽があったがら、あいづど話がでぎだんだ。浩二どは何がなくても、言いでえごど言い合ってきたべ」
三郎は、強いまなざしを浩二に向けた。
「いいが、浩二。俺が死んだら・・・喪主はお前だ。喜多一を継いだやづが、この家のあるじだ。家長だ。家も土地も、全部お前が引き継げ!」
「裕一も、喜んでお前に譲るってよ。ちゃんと承諾取ったがら」
三郎は、裕一と神社で話したときにその約束を取り付けていた。
「母さんのごど、頼んだぞ。聞いでんのが」
「・・・聞いでるよ。何だよ・・・そんな口約束ばっかし。だがらいっつもだまされんだよ」
「お前はだまされねぇ」
「ふん。さっさどこの家売っちまあがもしれねえし。もっと長生きしねぇど、何すっかわがんねぇぞ。」
「俺のごど見張ってろよ。もっともっと、生ぎでくれよ!」
口では強がりを言いながら、浩二はうなだれていた。
そんな浩二の頭を、三郎はそっとなでた。
「お前、いいやづだな」
顔を上げないまま、浩二は泣き続けた。
その晩、裕一は、縁側でハーモニカを吹き続けた。
寝室で眠る三郎のためだ。
神社で二人きりで話したとき、三郎はしみじみと言っていた。
「お前らのおがげで・・・いい人生だった。・・・ありがどな」
そうして三郎は、家族に看取られ静かに息を引き取った。
父の葬儀が済んだあと、裕一は改めて浩二に詫びた。
「い、今まで嫌な思いさせてきて、本当にごめん!浩二の言うとおり、何にもわがってながったど思う。」
「今も自信ないげど・・・。この家のごどは、浩二に全部任せます。母さんのごど、よろしく頼みます」
「言われなくてもわがってる。・・・兄さんも、頑張れよ」
数日後、裕一と音は、東京へ戻る前に茂兵衛(風間杜夫)を訪ねていった。
茂兵衛は、その日もとくとを回していた。
「本当はずっと、これがやりだがったのよ。絹子も死んで銀行もなぐなって、時間だげが残った。」
「没頭でぎるっつうのは幸せだな。ちっとも飽ぎねぇ。好きなごどで飯が食えるやづなんざ、一握りだ。」
「せいぜい気張って、かみさんど子どもに苦労かげんなよ」
「・・・はいっ!」
初めて見る茂兵衛の穏やかなまなざしに、裕一は胸を打たれた。
茂兵衛が焼いたいびつな夫婦茶碗を土産にもらって、裕一たちは福島を後にした。
頼りなくて抜けているところもあるけれど、いつも明るく優しい三郎。
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— 連続テレビ小説「エール」 (@asadora_nhk) June 12, 2020
朝ドラ「エール」第11週「家族のうた」のネタバレ
娘の華が生まれて4か月。
裕一(窪田正孝)は娘に夢中。
そんな中、福島の小学校の校歌を作曲してほしいという藤堂先生(森山直太朗)からの依頼を受けると、今度は校歌完成披露会に参加してほしいという手紙がきた。
同時に、母のまさ(菊池桃子)からも帰省を促す手紙が届く。
なかば故郷を捨ていた裕一は複雑な心境だったが、帰省することにする。
福島の旅館で開かれた校歌完成披露会に出席した裕一は、音(二階堂ふみ)と華を伴い喜多一に戻った。
店内はガランとしている。
喜多一は前年に店を閉め、浩二(佐々木宝)は役場の農業推進係として働いている。
川俣銀行も人手に渡り、茂兵衛(風間杜夫)は隠居して陶芸にいそしんでいると聞かされる。
夜には川俣銀行の同僚、ハーモニカクラブの友人、喜多一の元従業員など、大勢の仲間を集めて大宴会となった。
父・三郎(唐沢寿明)は上機嫌だったが、音は三郎が胃を押さえて痛そうにしている姿を目撃していた。
帰ってきた浩二は、兄に対する怒りが収まっておらず、裕一と目を合わせない。
そして三郎が胃がんで手の施しようがない状況にあることを告げる。
何も知らなかった裕一は呆然とするしかなかった・・・。
次の日、三郎を診療した医者は覚悟しておくように・・・と言う。
裕一が
「家族が一丸となって何とかしなければ・・・」
と慌てだすが、浩二に
「何もわかっていない」
と言われ、胸倉をつかまれてしまう。
家族でお金を工面し、福島一の名医に見てもらうなど、裕一以外の人間で頑張っていたのだった。
そこへ三郎が現れ、裕一に大事な話があると言って連れ出す。
その後、三郎の容態が急変。
三郎は浩二と2人になり
「この家の当主はお前だ」と伝える。
三郎は裕一に、全ての家督を次男の浩二に継がせる了解をとっていたのだった。
三郎は浩二の頭をなで、その夜息を引き取った。
裕一は浩二に、これまでのことを謝り、母と家をよろしく頼むと頭を下げた・・・。
裕一が帰る日、浩二は裕一に
「・・・兄さん、俺リンゴをやるんだ。美味しいリンゴができたら送るよ」
と言ってくれた。
裕一の顔にも、笑みがこぼれるのだった。
親との別れは、すでに音も経験している事ですが、必ず親との別れはやってきます。
これからまた、裕一たちは成長していきます。
【第10週のネタバレはこちら】
朝ドラ「エール」第10週ネタバレ!ご都合主義な幸運展開と音の選択
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